五輪メダル3個 元スピードスケート高木菜那さんの「転機」先輩からかけられた言葉

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結果が出なくて、先輩に2度相談

 それからはいろんな方からいただいたアドバイスをいったん置いておいて、自分はどうしたら速くなるのかを考え始めました。まず、いろんなスケーターのビデオを見て、研究して勉強したことを練習に移してやってみました。

 そういう練習に取り組んでいましたけど、3カ月くらいたってもうまくいかなかったんです。タイムは上がらないし、レース結果にも表れない。自分で選んで自分で行動してみても、すぐに結果に結びつくなんて簡単なことじゃないんですよね。

「今やってることは意味あるのか」と疑問に思いました。選手なら誰でも感じることかもしれません。

 実業団では多くの選手がワールドカップに出ているのに、私は国内戦を回っている状況で、シーズンが終わりに近づく時期には「ビデオで研究したり、自分で考えて練習してきたことは全部ムダなのかな」と不安になりました。

 その先輩にもう一度相談したんです。

「いろいろやってみたけどうまくいかなくて、このままで本当にいいんですかね」

 するとこう言ってくれたんです。

「自分が選んでやっていることが今は結果に残らなくてもいつか自分の力に変わるから。来年、再来年、何年か後には絶対自分の役に立つ。自分が努力してきたことや夢に向かってやってきたことに、ムダなことは一つもないんだよ」

 そう言われてからです。「ムダなことってないんだ!」と思えて、努力や挑戦することが怖くなくなりました。

 目標に向けて一つ一つやってきたことにはムダなことは何もない。私が速くなれたのは、多分そこからなのかなと思います。

 五輪が近くなってくるので、落ち込んだり足踏みしてる時間はないと思い、考えて考えて練習を重ね、少しずついい結果が出せるようになりました。

 挑戦することに怖さがなくなると、自分に必要なことは何か? ということにしっかり向き合いながらスケートに取り組めたんです。それが五輪初出場につながったのかなと思います。(※1500メートルとチームパシュートに出場)

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