香山クリニックのしなやか本棚
-
永田町にいるすべての男たちに読んでもらいたい
これはベテランAV監督の書いたセックスの指南書か? タイトルや表紙からはそう見えるかもしれない。しかし、本書の核心はそこにあるわけではない。無数のAVの撮影や心にトラウマを抱えた女優たちとのかかわり…
-
重度の自閉症者と精神科医との往復書簡
東田直樹さんを知っているだろうか。テレビで見たことがある人もいるはずだが、「重度の自閉症」と診断されている彼は、ジャンプを繰り返したり奇声を発したりととにかく落ち着きがなく、独特のリズムで話すので対…
-
「日本病」はもはや対症療法ではどうにもならない
経済学者と医学者がタッグを組んで日本を“診断”。たいへんな意欲作である。ただ、「3分でわかる」とはいかない。 本書で縦横無尽に語られる政治、経済、雇用、福祉などの論点を理解するには、数字やグ…
-
「死刑こそが有効で重い処罰」は思い込み
日本人の8割強は、「死刑もやむを得ない」と考える死刑容認派だといわれる。現在、死刑が確定していまだ刑が執行されない「確定死刑囚」は127人。彼らは何を考え、どういう日々を送っているのか。それを知る手…
-
「おろかなる者の宵闇深かりぬ」
私事で恐縮だが、私の場合、最近、発言の場がどんどん狭まっている。テレビの地上波、全国紙、メジャー雑誌から声がかかる機会が激減した。単に言論人としての“賞味期限”が切れただけかもしれないが、現場の人か…
-
「きみを夢見て」スティーヴン・エリクソン著
突然だが、本紙を購読するあなたは、世の中や政治についてもかなりの関心を持っているのだろう。そして恐らく、今の権力のあり方については批判的な見方をしているに違いない。しかし、そのことは会社や家庭では話…
-
グローバル社会ではイスラームの知識は不可欠
イスラム法学者・中田考氏の著作が次々に出ており、そのどれもが刺激的である。中田氏は、2014年、日本人学生が過激派組織「イスラム国(IS)」に参加を希望し渡航直前に公安が阻止した際、同組織への仲介役…
-
「最後に正義は勝つ」と喜べないむなしさ
新国立競技場の新しい建設計画が発表されてから、森喜朗氏があからさまにB案に肩入れしたなど相変わらず周辺はかまびすしいが、一般の人たちはもうすっかりシラけているのではないだろうか。総工費は約1500億…
-
こんな人が私の診療室を訪れたら、迷わず認知療法を
あるとき知り合いのジャーナリストに言われた。「安倍政権を批判するなら、きちんと相手を知らなければダメだよ」。そして薦められたのがこの本。著者は日本テレビの現役解説委員、安保法が参院審議中に総理自ら出…
-
ギャップ萌えの自己演出に心が凍りついた
大阪ダブル選直前に出た本書を、「維新2勝」の結果を見届けてからおもむろに読み始める。 維新の中心人物・橋下徹氏は、一見すると“デモクラシーの人”である。選挙で選ばれて府知事になり市長になり、…
-
知性主義の回復の芽を感じる希望の書
書店をのぞけば必ず並んでいる佐藤優氏の新刊。私は「政治と宗教について大切なことはすべて佐藤優から教わった」と言ってよいほどの佐藤マニアであるが(笑い)、とてもすべては読みきれない。そんな私と同じ心境…