林家正楽 大いに語る
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紙切りは世界中の老若男女どんな世代にも喜ばれる演芸です
正楽は一度、紙切りができなくなるかもしれない危機に陥ったことがある。13年前の秋、公演先の北海道旭川市で高座に上がっている最中、くも膜下出血の発作に襲われたのだ。 「頭の中でドカーンと花火が破…
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ヒット映画に生け花、相撲…世界共通のお題は「ドラゴン」
紙切りを見ていると、実にハサミの切れ味が良さそうだが、どんなハサミを使っているのだろうか。 「特別な物ではありません。文房具屋でなく、刃物屋で売っている刃先がちょっと長いハサミです。研ぐのが難…
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野球選手の注文 昭和は長嶋と王で平成はイチロー令和は?
寄席で色物芸人の持ち時間はたいてい15分。時間が押している場合は10分で降りることもある。 「時間が足りなくて、受けた注文を全部切れないと、それを残すのが心苦しい。特に注文したのがお子さんとか…
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時事ネタ注文多く…紙切りほど世相がわかる寄席芸はない
1998年7月2日、2代目正楽が亡くなる。享年62だから早過ぎる死だ。2代目は生前、後継者に小正楽を指名していた。 「師匠には2人の息子さんがいまして、長男を落語芸術協会の先代桂小南師匠に預け…
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浅草演芸ホールのお客は素直というか子供っぽいというか…
1988年、林家一楽は師匠である2代目正楽の前名、小正楽を襲名した。落語家でいえば、真打ちに昇進したようなものだろう。それを機に、師匠とは違った紙切りに挑んだ。作品が大きく映るOHP(オーバーヘッド…
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トリの談志が遅刻するとヒザ代わりがつなぐことに…
林家一楽という芸名をもらって寄席に出るようになったとはいえ、池袋演芸場が多かった。当時は端席といわれていたが、厳しい客が多く、若手にとっては格好の修業の場である。 「1980年代、改築前の池袋…
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困った注文…闇夜のカラス、透明人間、木綿と絹ごし豆腐
秋元真(正楽の本名)青年は2代目正楽に師事したものの、すぐに芸名をもらえたわけではない。というのも、紙切りに専念したのでなく、アルバイトをしながら稽古を続けていたからだ。 「4年間、アルバイト…
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紙切りの基本は「動物」…馬、牛、虎、ウサギと十二支から
林家正楽こと本名・秋元真は1948年1月生まれ、今年71歳である。1966年に高校を卒業、某カメラ会社に就職した。 「ところが、仕事がつまらなくて、早くやめたいと思ってた。寄席に通い出して、8…
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時事ネタは予測するけれどあえて練習はせず口座に上がる
正楽は客から受けた注文の題を全て記録している。その年、何が一番多く注文されたかわかるようカウントしているのだ。 「干支の動物が多いのは例年ですね。毎年変わらずに多いのは『ひな祭り』と『お花見』…
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天覧演芸で美智子さまから「秋」と「子守歌」のお題を
寄席で落語以外の芸を色物という。漫才、講談、奇術、太神楽(曲芸)、音曲などがそうで、紙切りもそのひとつである。林家正楽は毎日のように寄席の客席から注文を取り、どんなものでも短時間で切ってしまう。その…