検察vs政界 経済事件記者の検証記
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【東京佐川急便事件】異聞(86)金丸訪朝に対する右翼の抗議行動も止めてもらった
稲川会会長の石井進による金丸信側への貢献。続いて「金丸訪朝に対する右翼の抗議問題の解決」。これも、報告をそのまま引用する(太字部分)。 ※ ※ ※ 金丸が90年9月末に北朝鮮を訪…
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【東京佐川急便事件】異聞(85)浜田幸一の「宮本顕治は殺人犯」発言の収拾も頼む
稲川会会長の石井進と東京佐川社長の渡辺広康の金丸側への貢献は他にもあった。先の処理報告は続ける。まず、「浜田幸一衆議院予算委員長辞任問題の解決」である。報告書を引用する(太字部分)。 88年…
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【東京佐川急便事件】異聞(84)優柔不断な竹下に、涙を流す金丸…生々しい渡辺広康の供述調書
この「竹下ほめ殺し」封じの核心部分に関する東京佐川元社長、渡辺広康の供述調書は1992年11月6日、稲川会ルートの第5回公判で朗読され、報道された。「処理報告」と内容はほぼ同じだが、より臨場感があり…
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【東京佐川急便事件】異聞(83)街宣中止の条件は竹下による田中角栄への総裁選出馬挨拶
特捜部が検察上層部に示した「稲川会ルート」の処理報告。特捜部が最も心血を注いだ「竹下内閣成立をめぐる日本皇民党問題の解決」についての説明は続く(太字部分は引用。改行は筆者)。 ※ ※ ※ …
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【東京佐川急便事件】異聞(82)「街宣を抑えられないと、竹下が指名を受けられないおそれも」
東京地検特捜部の「稲川会ルート」処理報告は、東京佐川元社長の渡辺広康の供述概要に続き、稲川会会長側近の北祥産業社長の供述に触れる(太字部分は引用)。 ※ ※ ※ 北祥産業社長も、「本…
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【東京佐川急便事件】異聞(81)「竹下登・金丸信絡みのトラブル解決で借りがあったから」
特捜部は副部長の佐渡賢一が「当面の捜査方針」(1992年5月8日付)で「整理」した読み筋に沿って、逮捕・勾留した東京佐川元社長の渡辺広康らを粛々と取り調べ、供述や物証で事実を固めた。 その成…
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【東京佐川急便事件】異聞(80)金丸関与を法廷で明らかにし国民の期待に応える
政界のドンといわれた金丸信が竹下内閣樹立のため暴力団稲川会会長の石井進の協力を求めたという、民主主義の根幹にかかわる事実を検察が認定し、東京佐川事件の動機にかかわる重大な背景事情として法廷で広く世に…
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【東京佐川急便事件】異聞(79)当時の特捜部副部長による事件の事実の「整理」
東京地検特捜部副部長の佐渡賢一が作成した「当面の捜査方針」(1992年5月8日)は、以下のように事件の事実関係を整理した。当時の検察側の見立てと論理がよくわかるので、記述をそのまま掲載する(太字部分…
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【東京佐川急便事件】異聞(78)慎重を期した特捜部の「稲川会ルート」捜査
東京地検特捜部の「東京佐川事件(稲川会ルート)着手報告」(1992年5月7日)を見ると、特捜部が「平和堂ルート」「市原観光ルート」に比べ、格段に慎重になっている印象を受ける。 政界のドンとい…
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【東京佐川急便事件】異聞(77)特別背任事件の本質は「竹下登ほめ殺し」封じと見立てた特捜部
東京佐川元社長の渡辺広康が稲川会会長、石井進への資金提供の見返りに個人的利得を得ていたと認定した東京地検特捜部の「東京佐川急便特別背任事件(稲川会ルート)」の着手報告書は、元常務のSについても、以下…
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【東京佐川急便事件】異聞(76)特捜部は東京佐川元社長らの「図利加害目的」立証に全力
東京地検特捜部が「稲川会ルート」で東京佐川元社長の渡辺広康らに適用した特別背任罪は、以下のように規定されている。 株式会社の取締役、監査役、執行役らが、「自己もしくは第三者の利益を図りまたは…
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【東京佐川急便事件】異聞(75)警視庁捜査4課に花を持たせた「稲川会ルート」の強制捜査
さて、東京佐川急便事件「稲川会ルート」。 東京地検特捜部と警視庁捜査4課は、「平和堂ルート」「市川観光ルート」の強制捜査から3カ月後の1992年5月11日、東京佐川急便事件「稲川会ルート」で…
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【東京佐川急便事件】異聞(74)新宿・ゴールデン街の地上げ屋も捜査対象「30億から40億円の裏金が動いた」
東京地検特捜部は当時、これまで触れてきた「稲川会ルート」など3ルート以外でも、東京佐川元社長の渡辺広康らの不正経理事件の内偵を進めていた。横浜市の商事会社や都内の不動産会社に対する巨額の貸し付けをめ…
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【東京佐川急便事件】異聞(73)平和堂不動産社長は「約20億円を渡辺元社長に提供」と供述
東京地検特捜部は、「東京佐川急便特別背任事件(平和堂ルート)処理報告」(1992年3月3日)の後段で、「平和堂不動産社長が渡辺に供与した裏金について」の一項を設けていた。 「平和堂不動産社長は…
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【東京佐川急便事件】異聞(72)特捜部の「平和堂ルート」処理報告は「証拠上の問題はない」
東京佐川急便事件の「平和堂ルート」と「市原観光開発ルート」で東京佐川元社長の渡辺広康と元常務のS、平和堂不動産社長らを起訴した東京地検特捜部は、本丸の「稲川会ルート」と「政界ルート」の捜査を本格化さ…
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【東京佐川急便事件】異聞(71)平和堂不動産社長は保釈後、一転して捜査段階の供述を否定した
一方の東京佐川元経理担当常務のSについて、東京地検特捜部は、元経理課長のOとの共謀による550億円のほか、東京佐川急便元社長の渡辺広康や、稲川会会長の石井進のフロント企業・北祥産業の社長と共謀して北…
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【東京佐川急便事件】異聞(70)渡辺広康ら4人逮捕で特捜部が描いた事件の全体像
東京佐川急便事件は「政」「財」「暴」がからむ根の深い事件だった。特捜部は最も難関の「稲川会ルート」については、警視庁捜査4課との合同捜査でじっくり暴力団関係者を取り調べて容疑事実を固めることとし、ま…
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【東京佐川急便事件】異聞(69)阿部逮捕。その翌月、検察は東京佐川事件の強制捜査に着手
元北海道・沖縄開発庁長官の阿部文男は1992年1月13日、東京地検特捜部に逮捕された。病院に逃げ込み、迎えに行った主任検事の熊崎勝彦らとひと悶着あったが、病院での熊崎の取り調べに対し、阿部は「共和」…
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【東京佐川急便事件】異聞(68)東京佐川「前打ち」記事は1面左肩に滑り込み
1991年の大晦日。筆者は社会部の遊軍担当デスクから朝刊の当番デスクに、東京佐川事件の「前打ち」となる「谷川和穂元法相による東京佐川の仕手筋への融資保証」原稿を1面で掲載するよう売り込んでもらった。…
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【東京佐川急便事件】異聞(67)元旦1面トップに東京佐川の「前打ち」記事を売り込む
検察では、米国の航空機メーカーの旅客機売り込みをめぐる受託収賄罪で元首相の田中角栄を逮捕・起訴したロッキード事件の捜査が「金字塔」とされている。 国境を越えて多数の関係者を聴取し作成した膨大…