「資本主義の克服『共有論』で社会を変える」金子勝著
アベノミクスによる量的金融緩和と構造改革の政策的組み合わせは、地域格差を拡大させると著者は指摘する。規制緩和によって、新しい産業、新しい産業構造がつくり出されると信じられ、実行されてきたが、その結果は日本企業の国際競争力の低下と、格差や貧困の深刻化を招いただけだった。
本書は、新しい産業を生み出しつつ、格差や貧困を拡大することなく、自由と矛盾することなく平等を達成する制度やルールのあり方とはどんなものかを考察した論考。資本主義の歴史を読み解き、現在のような歴史的転換期に生じる新しい「独占」に対抗する制度やルールの創造と共有の必要性を説く。(集英社 720円+税)