客席の温度が違う…ラジオリスナーが多い高座はすぐわかる
埼玉のFM局、79・5MHzだからナックファイブで、お昼の番組のパーソナリティーをやってる落語家、三遊亭鬼丸です。ラジオをやってるおかげで今まで落語を見たことのない、そして落語に興味のなかったリスナーが私をきっかけに落語を見るようになってくれるのはうれしいものです。そしてそういうリスナーのお客さんの多いときって高座に上がるとすぐにわかるんですよね。どういうことかというと、ラジオでレギュラー番組を持つ前のお客さんの冷たさを覚えているから。いや、冷たくはないんですが、温かくはないんですよ。
知らない芸人が出てくるとお客は「こいつは面白いのか?」という視線で品定めをしてくるんですね。そしてこっちは「面白いから安心してよ」ってアピールするために、マクラというフリートークでお客に受け入れてもらう作業を行わなきゃいけないんです。これって有名な落語家だと、出てきた瞬間にお客は安心しながら「早く笑わせてよ!」って空気ですから場が温まるまでのハンディはだいぶあります。皆さんの周りを見てても、10年付き合いがある人と1週間の付き合いしかない人が同じことを言っても、10年の方を笑いますよね。今までの成り立ちを知っていたり、面白いことを言う人という信頼があるからでしょうね。とまあいろいろ書きましたが、つまり知ってる人がしゃべってる方が笑いやすいというのならこれを読んでる皆さんも知ってる人の落語を安心して見たいのではないでしょうか。