噺家が手拭いを「売るのはやぼ」説は俄然根強いのですが…
先週はお年玉のことを書いたので、今週はそれと一緒に配る手拭いについて書きましょう。
噺家は前座から二つ目に昇進をするときに初めて自分の手拭いを作ります。デザインは自由。最初に芸人としてのセンスを試されるかもしれません。ただデザインは大まかに分けて2パターンありますね。他の噺家が使いやすい(使ってもらいたい)デザインとお客さんに自分をアピールするデザインの2つです。手拭いって噺の中で小道具として使うので、あんまり派手な色づかいだとジャマになって使いづらいんですよね。デザインも柄っぽいほうが、どこの面でも変わらないので使ってて気になりません。一方、お客さまへのアピールデザインは有名な方に書いてもらって交友関係をアピールしたり、自分の似顔絵を入れてファングッズっぽさを出したり。
お客さんから手拭いってどうやれば手に入るのって聞かれるのは結構困りますね。「ご祝儀出せば」って言いたいところですが、礼状だけの芸人もいるでしょうし。ちなみに、私は真打ちになってからは販売してます。これは今現在も我々の業界では賛否分かれるところでして、「売るのはやぼ」説は依然根強いです。ただこれは販売肯定派として言わせてもらうと、落語会に行ってその芸人のグッズが欲しくなるのはファン心理として当然で、でもご祝儀とかいくらが適正か分からないというお客さんには極めてやさしいシステムです。