漫画家・松本零士さん85歳で死去…本紙で明かした「宇宙戦艦ヤマト」沖田艦長のモデル
松本さんは2012年8月13日付の「日刊ゲンダイ」に掲載された「私の秘蔵写真」でこう語っていた。戦時下、東南アジアの空でイギリス軍と戦闘していた陸軍航空隊のパイロットである父・強さんを振り返った時だ。
■沖田艦長のモデルは父・強さん
「父のことは誇りに思っていました。愛媛の大洲藩の郷士の出身で、狭き門の陸軍士官学校を卒業。航空隊に入り、最新鋭機のテストパイロットなどをしていました」
強さんは、終戦直後に捕虜となり、赤道直下のインドネシア領レンバン島に送られ、抑留生活を送ったという。松本さんが、日本に戻った父と再会できたのは、敗戦から1年後の夏だったという。
「父から、いろいろ話を聞くのが好きでした。よく話してくれたのが飛行機に乗っている時のこと。南方の夜空を夜間飛行していると、上も下もわからなくなって、星の海を飛んでいるように感じるそうなんです。昼は昼で、海があまりにも澄んでいるから、船が空に浮かんで見えるという。惑星や星雲の話、宇宙人の存在の確率、距離と時間の関係など、ちょっと難しい部分もありましたが、そうした父の話が、後年、僕に宇宙や空を舞台にした漫画を描かせたのだと思います」
宇宙戦艦ヤマトの沖田艦長のモデルは強さんだと明かしていた松本さん。ご冥福をお祈りいたします。