「歯周病」対策が肝臓がん予防につながるのは本当なのか
歯周病がナッシュにつながるとは、これまでどの医師も考えていなかったという。結束医師が話す。
「肝機能の数値が改善しない患者さんが、たまたま歯周病が判明して治療を受けたら肝機能の数値が下がったのです。その体験談が歯周病とナッシュの関係に注目するきっかけになりました」
もともと、腸内に存在している体に悪さをする細菌が血管を介して肝臓に至り、肝炎を引き起こすことは指摘されていた。ナッシュの患者の唾液を調べると、歯周病菌の中で最も悪性度の高いギンギバリス菌が見つかった。鎌田医師によれば、健常者と比べてナッシュの患者では、感染率が約2倍高かったという。
つまり、腸内の細菌が肝炎を引き起こすのと同様に、歯周病菌、中でもギンギバリス菌が肝炎を引き起こすと考えられた。
■歯垢除去などで肝機能の数値が低下
「そこで、ナッシュの患者で歯周病が未治療の10人を対象に、歯垢除去や歯周ポケットへの抗生物質塗布など一般的な歯周病治療を行いました。すると、翌月から順調に数値が低下していったのです」(結束医師)