「歯周病」対策が肝臓がん予防につながるのは本当なのか
ナッシュの薬物治療を受けても肝機能の数値が正常上限値より2~3倍高かった人が、歯周病治療によって4カ月後には平均して約半分まで数値が下がり、正常値になる人もいた。
歯周病とナッシュを関連付けた今回の研究は、まだ始まったばかりだ。2016年春から、横浜市立大学付属病院と神奈川歯科大学において、20歳以上でナッシュと歯周病を患い、食事運動療法と薬物が効かない200人を対象に医師主導の臨床試験を始める予定だ。しかし、この結果が出るまでもなく、今すぐできることがある。
ひとつは、歯周病のチェックと改善だ。
「口腔内の適切なコントロールができていない人が多い。歯科医にかかっても“様子を見ましょう”と言われ積極的治療が行われていないケースもあります。日本歯周病学会に登録している専門医に状態を見てもらい、適切な治療を受けてください」(鎌田医師)
もうひとつは、脂肪肝の改善だ。
「脂肪肝に対する認識が低い。脂肪肝からナッシュになり、肝硬変、肝臓がんと進んでいく。気づいた時は手遅れという人もいます。脂肪肝からナッシュになっていないか。もしそうなら歯周病と同様に専門医の治療が必要です」(結束医師)
近年、ナッシュが原因の肝臓がんが増えている。歯周病治療で肝臓がんが避けられる可能性があるなら、やらない理由はないだろう。