「歯周病」対策が肝臓がん予防につながるのは本当なのか
歯周病治療が、命を落とす重大病回避につながる可能性があることが改めて明らかになった。研究にかかわった横浜市立大学付属病院肝胆膵消化器病学・結束貴臣医師と、神奈川歯科大学付属横浜研修センター横浜クリニック高度先進口腔医学講座・鎌田要平歯科医師に話を聞いた。
40歳以上の8割がかかっているといわれるのが歯周病だ。歯と歯肉の隙間にたまった歯垢の細菌が毒素を出し、歯肉に炎症を起こして歯槽骨を溶かす。放っておけば確実に進行し、歯がボロボロと抜ける。
“害”は歯だけにとどまらない。心筋梗塞、糖尿病、胃がん、動脈硬化、アルツハイマーなど全身のさまざまな疾患のリスクを高めることが報告されている。
さらに最近の研究で、「肝疾患のひとつであるNASH(ナッシュ)も歯周病によって悪化する」ことが分かった。
ナッシュとは、アルコールを摂取しない、あるいは摂取しても適量(日本酒換算で1合以内)なのに脂肪肝となり、さらに肝硬変や肝臓がんに進行する「非アルコール性脂肪肝炎」のことだ。