患者を守るためにも医師の「働き方改革」は重要な課題
■過重労働は重大なミスにつながる恐れ
医師の中でも、われわれ心臓血管外科医は「時間外労働が長い」といわれています。手術が長時間に及ぶケースが多いうえ、容体の急変に備えて術後の患者さんの管理にも時間を費やします。重症の患者さんのために病院に泊まり込んだり、急患が入って休日の予定をキャンセルすることも珍しくありません。加えて、技術の習得や新しい治療法の勉強などにも時間を割いて取り組みます。
私自身も、かつては手術とその後の管理にほとんどの時間を費やしていました。最近は後輩やチームに患者さんを任せても問題ない状況になっていますが、いまも以前と同じように手術を行っていますし、普段は病院に寝泊まりすることもあります。
ただ、医師の働き方改革は、取り組むべき重要な課題だと考えています。医師の自殺や精神疾患といった事態を防ぐのはもちろん、医療安全や患者さんを守るという観点から見ても、医療者の過重労働は減らしていかなければなりません。取り返しのつかないような、あってはならないミスにつながるからです。