心臓病
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医師が簡単に患者の寿命を決めてしまってはいけない
慢性心不全の患者さんが急増する「心不全パンデミック」を乗り切るためには、「治療エビデンスのある薬の活用」と「生活習慣の改善」のバランスを考えることが大事だと前回お話ししました。QOL(生活の質)を優先したいのか、疾患リスク低減を優先...
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心筋梗塞後の心不全…命が助かってから別の病気を招くケースが増えた
近年、日本では「心不全」の患者さんが増えていて、中でも注意したいのは「心筋梗塞を起こした後の心不全」だと前回お話ししました。 カテーテル治療の進歩により、急性心筋梗塞を起こしたら、まず循環器内科でカテーテル治療が行われるケー...
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熱中症を防ぐにはまず「脳を冷やす」を意識する
「熱中症」に注意しなければならない季節を迎えました。熱中症とは、気温と湿度が高い環境で、体内の水分や塩分が失われたり、体温の調節機能が利かなくなることで体温が異常に上昇し、めまい、吐き気、頭痛、けいれん、意識消失といった症状が現れる病...
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心臓の健康にいいダイエットとはどのようなものなのか
これまで何度もお話ししてきたように、「肥満」は心臓にとって大敵です。多くの研究から、高コレステロール、高血糖、高血圧のリスクを高め、動脈硬化を促進して、心血管疾患を発症しやすくすることがわかっています。ですから、心臓を守るためにもダ...
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現役世代も65歳以下も「人間ドック」は有用…治療の信頼度も確保できる
前回、40~65歳くらいの世代が心臓を守るために受けておくべき検査についてお話ししました。その年代は生活習慣病による心臓や血管の問題が生じ始めるケースが増えてくるため、一度は造影剤を使わない単純CT検査を受けて、心臓と血管の状態を把...
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20~40歳は「血液検査」で生活習慣病の兆しを把握する
心臓を守り、突然死を防ぐために受けておくべき検査は、年代によって変わってくると前回お話ししました。今回は働き盛りの中高年世代について取り上げます。 まず、20歳代から40歳くらいまでは詳細な「血液検査」が重要です。突然死もあ...
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心臓を守るために若年世代は「心電図検査」を受けておく
健康診断のシーズンです。職場や自治体で行われている健診や人間ドックを受診するのはもちろん有意義ですが、心臓を守るためにとりわけ重要といえる検査についてお話しします。 突然死を防ぐためにも受けておくべき心臓検査は、小児から成人...
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救急搬送された患者への処置は大きく3つのパターンがある
前回、前々回と、救急救命医療に欠かせない「救急隊」についてお話ししてきました。彼らに活躍してもらうには医療機関側の受け入れ体制が重要になります。救急隊が搬送してくれた患者さんを迅速に応需し、少しでも早く救急車を再び次の現場に回す必要...
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救急隊に活躍してもらうには医療機関側の受け入れ体制が重要
近年、「救急隊」のレベルが向上していて、命を救われている患者さんがたくさんいるとお話ししました。医師の指示の下、特定の救急救命処置を行うことができる救急救命士の資格を持つ隊員も増えていて、現場での適切な対処や搬送する医療機関をしっか...
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水際で患者の命を救う「救急隊」のレベルは確実に向上している
当連載では、これまで「救急救命」について何度も取り上げてきました。ある日突然、重大な病気や事故に見舞われたとき、患者さんの命を救う大きな役割を担っているのが救急隊員で、彼らなくして救急救命医療は成り立ちません。 昨年10月、...
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「チョコレート」が心臓と血管を守るのは本当なのか?
「チョコレート」には心臓や血管に有益な効果がある──。かねて広く知られているトピックです。チョコレートには、フラボノイドの一種であるカカオポリフェノール(カテキンやエピカテキンなど)が豊富に含まれています。カカオポリフェノールには、抗...
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「ステロイド」を使っている患者の手術は細心の注意が必要
アレルギーは心臓手術にとって“障害”になると、以前にもお話ししました。花粉症、アトピー性皮膚炎、小児喘息の既往、食物アレルギー、金属アレルギーなど、何らかのアレルギーがある患者さんを手術する際は、通常の場合よりも細心の注意が必要にな...
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血圧は測る姿勢で数値が変化…2つのパターンを把握して突然死を防ぐ
日本では、心臓にトラブルを引き起こす一番の要因は「高血圧」だと以前お話ししました。血圧が高くなるとポンプである心臓が全身に血液を送り込む際により大きな力が必要となり、それだけ負担がかかります。血管にも大きな圧力がかかるので、血管の内...
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「アレルギー」は心臓血管疾患の発症に大きく関わっている
潜在的な「食物アレルギー」があると、心臓血管疾患による死亡リスクがアップする──。米国のバージニア大学保健システムの研究で明らかになりました。 2005~06年の米国国民健康栄養調査と、アテローム性動脈硬化に関する多民族研究...
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相次ぐ医療事故…命を守るために患者が押さえておくべきポイント
昨年、カテーテル治療を受けた患者11人が死亡していたことが判明した神戸徳洲会病院で、今度は投薬ミスの可能性がある“死亡事故”が発覚しました。 報道によると今年1月19日、90代男性が心肺停止の状態で搬送され、治療により一時は...
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「難聴」は動脈硬化性の心臓病とも深く関係している
音が聞こえにくくなる「難聴」は、高齢になると多く見られる耳の障害ですが、じつは心臓病とも深く関係しています。 富山大学の研究では、狭心症や心筋梗塞といった心臓血管疾患の既往のある高齢者は、難聴のリスクが約2倍に増加すると報告...
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「腰痛」の背後に命に関わる心臓病が隠れているケースがある
年をとって「腰痛」がひどくなった……そんな高齢の方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。高齢になると骨や筋肉が衰えて体を支えきれなくなったり、加齢とともに関節の軟骨がすり減るなどして、腰の関節に痛みが生じるケースは少なくありま...
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高齢者の再手術では術後の「リハビリ」と「食事」が重要
心臓手術の多くは“賞味期限”があります。そのために医療が進歩した現在では、50~70代で最初の手術を受けた人は、80歳前後で再手術が必要になるケースが少なくありません。高齢になると、体力や持病などによってリスクがアップするため再手術...
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再手術でリスクになる「心房の拡大」は縫い縮めておけば回避できる
これまで、高齢者の心臓の再手術における“ハードル”についてお話ししてきましたが、もうひとつ大きなリスクになるのが心臓の「拡大」や「肥大」です。 そもそも心臓は、「大きい」こと自体がリスクになります。一般的に大人の心臓は左右の...
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高齢者の再手術では「仮性動脈瘤」を処置するケースが多い
近年、主に担当している高齢者の再手術では、前回お話しした癒着のほかにも難度をアップさせるリスクがあります。「仮性動脈瘤」(偽性動脈瘤)と呼ばれる病態です。 動脈硬化が主な原因で生じる真性動脈瘤とは異なり、炎症、外傷、手術、カ...
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高齢者の再手術は初回からの期間が短いと「癒着剥離」の難度が上がる
2020年にいわゆる定年で主任教授を辞し、大学の理事兼特任教授となってから、およそ3年半がたちました。かつてに比べると件数は減りましたが、いまも病院で現役の外科医として手術を続けています。このところ、主に執刀しているのが「高齢者の再...
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心臓病のリスクをアップさせる「超加工食品」について考える
食事・食品と心血管疾患の関係については、これまでも世界中でさまざまな研究が行われています。そうした中で、近年よく目にするのは「超加工食品」というものです。 保存料、人工的なうまみ成分、油脂といったさまざまな添加物が含まれ、糖...
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「塩分」は心臓の健康にとってやはりマイナスといえる
近年、「塩分(ナトリウム)」と心臓血管疾患の関係についてさまざまな議論が交わされています。WHO(世界保健機関)は推奨する1日の塩分摂取量を5グラム未満としていて、米国では5.8グラム未満(高血圧患者などでは3.8グラム未満)となっ...
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冬の朝のウオーキングは心臓が危ない…リスク因子が揃っている
本格的な冬が到来し、全国的に冷え込みも厳しくなってきました。 基本的に「寒さ」は心臓にとって大敵です。気温が低い環境では、人間は血管を縮めて血流を減らし、熱を体外へ逃がさないようにします。血管が縮んで血液が流れにくくなると、...
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収入が低くなると心臓病リスクが高くなる…理由はいくつもある
近年、「収入」と心臓病の関係に関する研究が盛んに行われています。すでに、高収入の人は、低収入の人と比べて平均余命が長いことが報告されていますし、収入が高い人は、低い人と比べて心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患のリスクが低いこともわか...
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新たな理論による「血流解析」は心臓治療を進歩させる可能性がある
近年、心臓病の診断・治療の領域で「血流」の研究が進んでいます。 心臓は効率よく全身に血液を送り出すために、心臓内でさまざまな回転する流れ=渦血流を発生させていることがわかっています。心臓になんらかのトラブルがあるとこの血流の...
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若い女性の心臓病は遺伝的な冠危険因子がリスクを上昇させる
心臓病は、男性と女性で発症数や症状に差が表れる病気だといわれています。年齢によるホルモンバランスの変化、日常における生活習慣の違いなどが関係していると考えられています。 今年5月にも、米国心臓病学会が発行する国際学術誌「Jo...
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「ジェネリック」の急拡大が思わぬ健康被害につながる危険
このところ、全国の医療機関や薬局で深刻な医薬品不足が続いています。咳止め薬、糖尿病治療薬、止血剤、抗うつ薬など、さまざまな薬が入手困難になっていて、処方を断られたという患者さんも少なくないはずです。 こうした医薬品不足の大き...
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肝臓と心臓の関係…脂肪肝は心臓疾患リスクをアップさせる
近年、飲酒が関係しない脂肪肝「非アルコール性脂肪性肝疾患」(NAFLD)が問題になっています。脂肪肝というのは、肝臓の細胞の5%以上に中性脂肪がたまった病態のことで、飲酒を原因とする「アルコール性脂肪肝」と、飲酒を原因としない「非ア...
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突然死の重大なサイン…危険な「痛み」を見逃してはいけない
「心筋梗塞を発症して治療を受けてから1年後、痛みがある人は死亡リスクが上昇する」という海外の研究について、前回お話ししました。この研究の成果はともかく、そもそも「痛み」というのは心臓病、とりわけ狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患にお...