心臓病
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「寒い住まい」での生活は心臓に大きなダメージを与える
“最強”といわれた寒波はピークを過ぎたそうですが、厳しい寒さはまだまだ続く見込みです。 これまで何度かお話ししてきましたが、「寒さ」は心臓にとって大敵です。気温が低い環境では、われわれは血管を縮めて血流を減らし、熱を体外へ逃が...
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「マイクロプラスチック」はなぜ心臓病のリスクになるのか
マイクロプラスチックが心臓疾患のリスクをアップさせる──。昨年、医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表された最新の研究です。われわれの体内に侵入して蓄積されたマイクロプラスチックが心臓にどう影響するのかを検...
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現代社会のストレスを軽減して心臓を守る「祈り」のすすめ
現代は、技術の発展がますます進み、驚くほど便利で暮らしやすい生活が実現しています。その一方、競争、管理、人間関係などのストレスが顕在化した「ストレス社会」ともいわれます。実際、内閣府が15~74歳の男女を対象に行った調査によると、「...
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(8)人間ドックで兆候をつかまえたい…自覚症状あり→病気が見つかるでは手遅れも
「健康診断で心雑音を指摘されました」──といって患者さんがやってきます。職場の健康診断ですから、病気の自覚がない50歳前の人ばかりです。見つかった病気は僧帽弁閉鎖不全症。今まで仕事をしていたわけですから、自分ではあまり症状を感じない状...
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「心臓震盪」による突然死を防ぐにはAEDが欠かせない
「心臓震盪」と呼ばれる病態があります。胸部に受けた衝撃が原因で、直後に心臓が不規則にけいれんする心室細動などの致死性不整脈を起こして心停止に至り、突然死を招くものです。 野球、ソフトボール、サッカー、ラグビー、ホッケーといった...
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(7)不整脈は前兆なく突然死も…引き金はストレス、睡眠不足、アルコール、過労
私は高校時代、寮に入っていました。1年生の時、ある日曜日の朝、3年生の先輩が自室のベッドで亡くなっているのが発見されました。2人部屋で、同室だったM先輩は「朝方に1回だけうめき声が聞こえた気がする」とのことで、それ以外の異変には気が...
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(6)大動脈弁狭窄症は聴診器をあてるとすごい雑音がする
心臓の弁は薄く透明でひらひらしています。これが1日に10万回、開いたり閉じたりするのです。生きた細胞が表面にぱらぱらと配置され、それらがメンテナンスしているようです。 心臓の出口にある大動脈弁と呼ばれる弁では、石のように硬い...
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(4)急性大動脈解離の手術は心臓外科医でも受けたくない
突然、大動脈が破裂する急性大動脈解離という病気があります。数々の有名人が、この病気になったことが報道されているので、ご存じの方も多いことでしょう。 しかし、人は病気の話を聞いても他人事で済ませてしまいます。何度聞いても、アタ...
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日本における心臓移植は外科医の育成そのものも欠かせない
前回、日本における心臓移植の現状と課題について取り上げました。日本では、スタッフ不足などで移植手術の実施態勢が整わなかったことが原因で、不足しているドナーから提供された心臓の移植手術が見送られた事例が相次いでいて、早急な改善が求めら...
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(2)狭心症の原因は不明…10年ごとに冠動脈CT検査を
記者が尋ねます。 「狭心症ってどんな症状ですか」 アホな質問です。そんなもの言葉で言い表せません。 今この瞬間も、世界中の病院で患者は医者の前で、自分の症状を一生懸命伝えようとしていますが、病気の症状なんて人そ...
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(1)心房細動が心配な人はアップルウオッチで心電図を
国家権力を担う警察、検察、裁判所、軍隊のことを「暴力装置」と呼ぶことがあります。国家が社会の秩序を維持するための「必要悪」なのですが、庶民にとっては「いつ何をされるかわからない」怖い存在です。 さて、医者も同じく「権力」を持...
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日本の心臓移植はどうあるべきか…あらためて議論するべき
昨年6月、脳死した方から提供された心臓の移植手術が見送られた事例が2023年に計16件あったという調査結果が日本心臓移植学会から発表されました。この調査は、心臓を含む臓器移植手術の実績上位の東京大、京都大、東北大で、受け入れを断念す...
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「AI心臓エコー検査」は医療者も患者も負担が少なくなる
去る11月、順天堂大学とエムスリーAI株式会社が共同で実施した「AI(人工知能)を用いた心臓エコー検査の効率化を実現した研究」が、AHA(アメリカ心臓協会)の最新科学トピックに採択され、現地で発表が行われました。 心臓エコー...
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「水」が病気予防や健康維持に有効なのは本当なのか
ここ40~50年の間で、日本人の健康意識は大きく変わったという印象があります。病気予防や健康維持をはじめ、アンチエイジングなどにも関心を持つ人が増えていますし、実際、野菜の産出額が2兆2294億円(2022年)なのに対して、健康食品...
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「鉄分」が不足すると心臓にとって大きなマイナスになる
「鉄分」の不足は心臓の健康に悪影響を及ぼします。たとえば、慢性心不全の患者さんの30%以上は鉄分不足で起こる鉄欠乏性貧血が合併していると報告されていて、貧血を合併している人は、貧血が合併していない人と比べ、全死亡や心不全による再入院率...
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(1)心不全を合併する2型糖尿病患者は薬の選択に注意
医療技術の進歩で、さまざまな病気が治療できるようになった。それ自体は喜ばしいことだが、その分、持病持ちの患者が増え、合併疾患の治療の難しさが課題になっている。そのひとつが「心不全」の持病がある糖尿病治療だ。患者はもちろん、その家族は...
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不整脈に対する「重粒子線治療」の期待と課題
重粒子線で不整脈を治療する--。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構で、そうした研究が進んでいるといいます。 重粒子線とは放射線の一種で、炭素イオンを光の速さの70%まで加速したものです。それを病巣に照射して病巣を破壊し...
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“冷凍アブレーション”も登場…心房細動の治療は進化を続けている
これまで何度もお話ししてきましたが、高齢化が進む日本では「心房細動」の患者さんが増えています。現在、日本の心房細動患者は80万人といわれ、2030年には100万人を突破するとみられています。 心房細動は、心臓の上部にある心房...
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カテーテル治療かバイパス手術か…慎重な選択が命を守る
心臓治療の“入り口”は、手術を行う心臓血管外科ではなく、循環器内科です。心臓トラブルが起こった場合、まずは循環器内科で検査や診断が行われてから治療がスタートするケースがほとんどです。 中でも近年、狭心症や心筋梗塞といった虚血...
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アトピー性皮膚炎がある人は心臓血管疾患のリスクがアップする
アトピー性皮膚炎は血栓症のリスクをアップさせる--。デンマークで行われた大規模調査の報告です。とりわけ、アトピー性皮膚炎がある65歳以上の高齢者や血栓症の既往がある人は、アトピー性皮膚炎ではない人に比べて静脈血栓塞栓症のリスクが10...
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年をとったら「抗凝固薬」のタイプと使い方に注意を払う
前回、高齢になったら効き方や副作用のリスクをあらためて注意すべき薬についてお話ししました。加齢によって腎臓などの臓器の機能が衰えると、薬の効き方が変わったり、副作用の危険がアップするケースがあるのです。中でも、このところ議論になって...
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ずっと飲んでいる薬でも高齢になったらチェックして注意する
漢方薬を長期間ずっと服用し続けている場合、高齢になったときに思わぬ副作用や弊害が現れるケースがある──。以前、そんなお話をしましたが、これは一般的な薬=西洋薬でも同様です。 若い頃からずっと飲み続けている薬がある場合、高齢に...
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心臓疾患の労災認定が増加中…職場で命を守るポイント
近年、「働き方改革」が大きな話題になっています。2013年ごろから過労死や過剰労働による職場での事故などが世界的な問題となり、国連が長時間労働や過労死の是正を求めたこともあって、日本でも働き方改革について盛んに議論されるようになりま...
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「突然死」の原因の7割占める心臓を守る…料理研究家・服部幸應さんは直前にラジオ収録
料理研究家・服部幸應さんの命を奪ったのは急性心不全だった。その後の報道から、あまりにも突然だったことが垣間見える。享年78。年齢的には何が起きても不思議はないが、服部さんのような突然死は50代から要注意だという。 ◇ ◇...
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急激な気圧の変化は心臓に大きな負担がかかる…季節の変わり目は危ない
暑かった夏がやっと終わったかと思えば、一気に秋が深まってきました。こうした季節の変わり目などにみられる急激な気候の変化は、心臓にとって大きな負担になります。 その大きな要因になるのが「気圧」です。気圧というのは、空気の重さに...
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「漢方薬」は高齢になってから深刻な弊害が生じる危険がある
一時期のようなブームは落ち着きましたが、日本では「漢方」が根強い人気を誇っています。天然由来である漢方薬は、西洋薬に比べて一般的に副作用が少ないとされていて、安心・安全なイメージがあることが大きな理由でしょう。 また、近年は...
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急増中の「梅毒」は心臓にどんなトラブルを引き起こすのか
ここ数年、「梅毒」の感染者が爆発的に増えています。NIID(国立感染症研究所)の報告によると、1990年代以降は患者数が年間1000人を下回っていましたが、2011年ごろから増加の一途をたどり、2023年には過去最多の1万4906人...
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先天性心疾患は大人になってから再手術が必要になるケースが多い
生まれつき心臓や血管に異常があって、その働きが障害される病気を「先天性心疾患」と呼びます。遺伝とはほとんど関係がなく、日本では年間約1万人の新生児が先天性心疾患を抱えて誕生しています。 先天性心疾患はたくさんの種類があり、比...
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医療安全をマスターしていない医師は医療を行ってはいけない
前回、心臓手術で発生するリスクがある「空気塞栓」についてお話ししました。手術の最中に心臓内に空気が入り込み、その空気が大量に血管内に侵入して脳の血管に詰まることで、脳梗塞や半身麻痺、意識障害などを引き起こすトラブルです。冠動脈に詰ま...
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ブームが続く「サウナ」で死にたくない…心臓死の報告も
ブームが続くサウナでの事故が増えている。やけどやケガだけでなく、心臓血管病や循環器障害を起こして死亡したケースもある。サウナで命を落とさないために心がけるポイントを、東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信氏に聞いた。 消費...