著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

人間は損失が頭をよぎるとリスクを取る意思決定をしてしまう

公開日: 更新日:

 人間の意思決定における心理的要因を説明する行動経済学の理論に、「プロスペクト理論」と呼ばれるものがあります。ざっくり言うなら、「人は損失を回避する傾向があり、状況によってその判断が変わる」という理論です。

 このロジックを提唱したエイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンは、生死に関わる状況において、異なる言い回しが被験者の反応にどのような影響を与えるかを調査(1981年)しています。

 大きな病気にかかっている600人の人々を対象に行われたこの調査は、次の2つの治療法のどちらを選択するか求めたものでした。

 治療法Aは、「600人のうち200人の命が助かる道」と伝え、治療法Bでは、「600人全員が助かるか、全員が助からないかのどちらかである道」と伝えた──。

 その結果、被験者は治療法Aを選択する人が多かったといいます。しかし「命が助かる」ではなく、「命が失われる」と言い換えたケース(治療法Aで言えば「600人のうち400人の命が失われる道」)では、治療法B、すなわち、イチかバチかに賭ける人が圧倒的多数だったといいます。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇