「損したくない」と思うほど損をする…焦りが判断を誤らせる
「せいては事を仕損じる」という言葉があります。何事も焦ってしまうとミスが生じやすい。ケアレスミスなどは、まさにその典型ではないでしょうか。
焦りや不注意など人間がミスを誘発する要因はさまざまですが、北海道大学の村田による実験(2005年)は、とても興味深い事例だと言えます。
12人の被験者を対象に、映し出された矢印の向きと同じ向きの矢印のボタンを押してもらいました。その際、3つのグループに分けて行ったといいます。
①正解しても失敗しても特に何もないグループ
②報酬500円からスタートし、間違うか、時間内にボタンを押さないと1回につき2.5円が引かれてしまう“罰金”のあるグループ
③報酬0円からスタートし、1回正解するごとに2.5円がもらえる“成果報酬”のグループ
この実験では、罰金や報酬がミスとどのような関係があるのかを調べたわけですが、なんと②の罰金のあるグループだけが、①と③のグループに比べて大幅に低い正答率になったといいます。通常なら難なくできることであっても、時間内に正解しなければいけない、あるいは報酬が減ってしまうというプレッシャーから焦りが生まれ、ミスが増えてしまったというわけです。