20~49歳の発症が急増…「若年性大腸がん」は早期発見がとりわけ重要
「ダビンチの鉗子には多関節機能があり、人間の手では不可能な可動域で骨盤など手が届きにくい深い部位での複雑な動きができます。3D画像による視野拡大効果で、より立体的に細かい神経や血管を確認できるので、出血や神経損傷の恐れが少ないだけでなく、手ぶれ補正機能でより繊細かつ安定した操作ができるのが特徴です。当院では大腸がんの手術適応とされたすべての患者さんにダビンチ手術を行い、縫合不全や腸閉塞といった重大な合併症はこれまでより少なくなり、より安全な手術を提供しています」
22年、海外で行われた直腸がんに対する腹腔鏡手術とダビンチ手術を比較したランダム化比較試験では、術中の開腹手術移行率は腹腔鏡で3.9%、ダビンチでは1.7%と少なく、術中の合併症を引き起こした割合は腹腔鏡で8.7%、ダビンチでは5.4%と、ダビンチの安全性が有意に高かった。
「なかでも気になるのが術後の永久的な人工肛門の造設率ですが、腹腔鏡で22.6%、ダビンチでは16.8%と、ダビンチを受けた8割以上の方は肛門温存に成功しています。さらに、直腸がん手術では、がんの切除端である断端を取り残さないことが最も重要です。取り残しを示す断端の陽性率は、腹腔鏡で7.2%、ダビンチでは4.0%で治療の根治性が高いことが報告されています」
万が一、大腸がんと診断された時に備えて、ロボット手術の選択肢があることを頭に入れておきたい。