皮膚を見れば病気が分かる(4)手指の関節の赤みから皮膚筋炎と大腸がんが見つかった
膠原病といえば、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどが挙げられることが多いが、次いで多いとされるのが「皮膚筋炎」だ。皮膚と筋肉に炎症が起こる自己免疫疾患で、60歳前後の中年に発症しやすい。悪性腫瘍との合併も多く報告され、悪性腫瘍によるデルマドロームとして皮膚症状を引き起こすケースも少なくないという。
鮮魚店に勤務する60代前半の女性は、約3カ月前から指の関節の周りに赤みが広がっていることに気付き、近所の皮膚科を受診。抗炎症作用のある軟膏を処方され、毎日欠かさず塗布していたものの、赤みは改善するばかりかまぶたにまで見られるように。慌てて受診した大学病院で精密検査を受けたところ、皮膚筋炎と大腸がんの診断を受けた。
東邦大学医療センター佐倉病院皮膚科教授の樋口哲也氏はこう言う。
「なぜ皮膚筋炎と悪性腫瘍が合併するのかについて、理由はよく分かっていません。皮膚筋炎と診断された人のうち、約30%に悪性腫瘍が合併していたと報告されています。中でも報告数が多かったのが胃がんと卵巣がんで、がんと皮膚筋炎、どちらを先に発症するかは人によってさまざまです」