20~49歳の発症が急増…「若年性大腸がん」は早期発見がとりわけ重要
大腸がんは女性の12人に1人、男性の10人に1人が生涯のどこかで発症する罹患率の高い病気だが、厚労省の国民生活基礎調査によると、大腸がんの検診受診率は男女ともに50%に達していない。検診を受けていれば、大腸がんの死亡リスクを60%減少させるという調査結果も報告されているから、検診で早期発見し、早期治療を始めたい。
大腸がんの治療はステージごとに異なり、がんが大腸壁の粘膜内や粘膜下層内の浅い位置でとどまっているステージ0~1であれば内視鏡で切除する。
「ただ、大腸の壁により深く浸潤した場合は手術が必要で、最も行われているのが腹腔鏡手術です。お腹に数カ所の小さな穴を開けて『鉗子』と呼ばれる器具を入れて医師が画像を見ながらメスや鉗子を動かします。ただ、鉗子は菜箸のような直線的な動きしかできず、骨盤内の深く狭い場所にある直腸がんでは剥離や切除の操作が非常に難しい。そこで近年導入されているのが手術支援ロボット『ダビンチ』です」
■ダビンチ手術では8割が肛門温存
ダビンチとは、これまでの腹腔鏡手術にロボットの機能を組み合わせた手術法だ。腹部に開けた数カ所の小さな穴から鉗子を挿入するまでは腹腔鏡手術と同様だが、医師は患者のそばに置かれたコンソール(コックピット)に座り、3次元の画像を見ながら手元のコントローラーで遠隔操作する。2018年に直腸がん、22年には結腸がんに対して保険適用が認められた。