著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

ワッキーがつらさを告白…中咽頭がん化学放射線療法の副作用を減らすコツ

公開日: 更新日:

 急性期の障害は治療中から起こり、治療を終えてしばらくすると治ります。一方、晩期の障害は起こりにくいものの、発症してしまうと、治りにくいのです。人によっては治療から10年くらいたって発症することもあります。

 女優の秋野暢子さんは頚部食道がんで化学放射線療法を受け、治療中はのどの痛みなどに苦しまれていました。しかし、その後、痛みは解消していて、今のところ晩期障害は発症していないと思われます。

 こうした副作用の現れ方の違いは、がんの部位が異なるだけでなく、照射の仕方の違いもあるでしょう。がんの形に合わせて放射線の強さを変えながら集中的に照射できるIMRT(強度変調放射線治療)は、従来の放射線に比べて、唾液や味覚への影響が抑えられることが分かっています。ですから、化学放射線療法でも、IMRTで放射線治療を行うことが重要です。

 東大病院でリンパ節転移があるHPV陽性中咽頭がんステージ1に対しIMRTによる化学放射線療法を行った場合、唾液などへの影響は「健康なときの7~8割くらい」と表現される患者さんが多く、ワッキーさんほどに副作用が強く残るのはまれです。

 ですから、とにかくがんにピンポイントに照射することがポイント。正常組織への照射はなるべく弱く、少なくが大切です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾