著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がんの自由診療でトラブル続々…原則NGでも、使ってOKの例外あり

公開日: 更新日:

 がんの自由診療を巡ってトラブルが相次いでいます。先月23日には、自由診療で「がん細胞が死ぬ」と勧められた点滴を投与された後に死亡した男性(当時46歳)の遺族がクリニック院長に935万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。25日には、厚労省が東京のクリニックでがんを予防する細胞療法を受けた2人に重大な感染症が発生したと発表しました。

 特に亡くなったケースは悪辣で、国は悪徳医療を処罰する規制と法整備が必要でしょう。しかし残念ながら、効果不明の自由診療やサプリなどを利用するがん患者が少なくないのも事実です。そこで、今回はこの点について説明します。

 一般の方にとって保険診療と自由診療の違いで大きいのは医療費でしょう。なぜ保険診療の医療費が公費で一部負担されて患者負担が安くなるかというと、保険適用となった薬や治療はすべて臨床試験で医学的な効果が認められたもので、裏づけがあります。ところが自由診療の薬や治療は、そうした医学的根拠が不十分なものが多いため保険適用になっていないのです。

 ですから、自由診療には、原則、手を出してはいけません。サプリメントなどにはわずかなサンプルで機能性を検証したものもありますが、医薬品のような効能・効果を打ち出すことはできません。ましてや「抗がん効果」はもってのほかですから、これらもやめるべきでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    泉ピン子が終活をやめたワケ「渡る世間は(水原)一平ばかり!」スペシャルインタビュー

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在

  5. 5

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  1. 6

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  2. 7

    イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解

  3. 8

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  4. 9

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  5. 10

    公表された重点施策で露呈…JR東海の株価低迷と時代遅れの収益構造