関東大震災から100年…養老孟司さんが語る「大地震後の歴史の転換期」とは?

公開日: 更新日:

 9月1日は「防災の日」。1923年のこの日に起こった関東大震災(M7.9=推定)から100年を迎えた。当時、10万人を超える人々が犠牲になったが、日本は地震大国だ。常に自然災害のリスクがある。地震は避けることができないが、対策とともにその後の生き方を考えておきたい。

 日本の未来を憂う心配性のドクター二人、解剖学者の養老孟司さんと精神科医の名越康文さんが日本、そして日本人を診察しアドバイスを処方した書籍「二ホンという病」(発行・日刊現代/発売・講談社)では、近い未来に訪れる「南海トラフ地震」とその後の日本について語っている。今回、地震と地震後の日本の歴史を語る養老さんの言葉を本書から一部抜粋、再編集した。

 ◇  ◇  ◇

 災害の後は必ず法と秩序が表面に出てきます。安政の時(1854年の安政東海地震、安政南海地震)には、安政の大獄(1859年)が起きています。極端に国論が分裂する可能性があります。その時に「暴力集団」が、どっちにつくかで問題になる。やっぱり、権力側になるでしょうから、どういう考え方の人をリーダーにするかで日本の未来が決まっちゃうんですよ。

 安政の地震の後は、安政の大獄から明治維新になっていく。それ以前の日本史でも全部、ものすごく大きな方向転換が起こっています。源平の争乱(1180年)の時もそうです。「方丈記」に書かれていますが、(1185年3月24日に)平家が壇ノ浦で滅んだ4カ月後の7月9日(新暦では8月6日)に京都で大地震(M7.4)が起きています。その後、平安の貴族政治から鎌倉の武家政治へと変わっていく。必ず大きな変化が起こるんです。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大「巨大不良債権化」という現実…阿部監督の“ちぐはぐ指令”に二軍首脳陣から大ヒンシュク

  2. 2

    ヘイトスピーチの見本市と化した参院選の異様…横行する排外主義にアムネスティが警鐘

  3. 3

    国民民主党「新人都議」に渦巻く“スピリチュアル疑惑”…またも露呈した候補者選定のユルユルぶり

  4. 4

    巨人・田中将大を復活させる「使い方」…先発ローテの6番目、若手と併用なんてもってのほか

  5. 5

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  1. 6

    高橋真麻がフジ港浩一前社長、大多亮元専務を擁護の赤っ恥…容姿端麗な女性集めた“港会”の実態知らず?

  2. 7

    参院選「自民裏金議員15人」で当確5人だけの衝撃情勢…比例は組織票があっても狭き門

  3. 8

    ドジャースが欲しがる投手・大谷翔平の「ケツ拭き要員」…リリーフ陣の負担量はメジャー最悪

  4. 9

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  5. 10

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?