関東大震災から100年…養老孟司さんが語る「大地震後の歴史の転換期」とは?
9月1日は「防災の日」。1923年のこの日に起こった関東大震災(M7.9=推定)から100年を迎えた。当時、10万人を超える人々が犠牲になったが、日本は地震大国だ。常に自然災害のリスクがある。地震は避けることができないが、対策とともにその後の生き方を考えておきたい。
日本の未来を憂う心配性のドクター二人、解剖学者の養老孟司さんと精神科医の名越康文さんが日本、そして日本人を診察しアドバイスを処方した書籍「二ホンという病」(発行・日刊現代/発売・講談社)では、近い未来に訪れる「南海トラフ地震」とその後の日本について語っている。今回、地震と地震後の日本の歴史を語る養老さんの言葉を本書から一部抜粋、再編集した。
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災害の後は必ず法と秩序が表面に出てきます。安政の時(1854年の安政東海地震、安政南海地震)には、安政の大獄(1859年)が起きています。極端に国論が分裂する可能性があります。その時に「暴力集団」が、どっちにつくかで問題になる。やっぱり、権力側になるでしょうから、どういう考え方の人をリーダーにするかで日本の未来が決まっちゃうんですよ。
安政の地震の後は、安政の大獄から明治維新になっていく。それ以前の日本史でも全部、ものすごく大きな方向転換が起こっています。源平の争乱(1180年)の時もそうです。「方丈記」に書かれていますが、(1185年3月24日に)平家が壇ノ浦で滅んだ4カ月後の7月9日(新暦では8月6日)に京都で大地震(M7.4)が起きています。その後、平安の貴族政治から鎌倉の武家政治へと変わっていく。必ず大きな変化が起こるんです。