“代打の代打”にも腐らず イチロー3000安打への活力は何か
にもかかわらず、代打イチローの代打として打席に入ったのは、同じく控え野手のジョンソン(31)。メジャー実績の豊富なベテランであれば、イチローならずともやってられないという気持ちになったとしても不思議ではない。
なのに不満をぶちまけるどころか、試合後は嫌な顔ひとつせず若手をニコニコして出迎えることもある。
■記録は貴重なアイデンティティー
イチローがこんな使い方をされても現役にしがみつく最大の理由は3000安打だろう。
日本のプロ野球ではオリックス、メジャーではマリナーズという比較的地味な球団で育った。常にスポットライトの当たる巨人やヤンキースならともかく、ヤンキースへの移籍も往年の力がうせた後。例えば、松井秀喜のようにワールドシリーズMVPを獲得できる可能性もすでになかった。ファンやメディアの注目を浴びるにはバットで結果を出す以外にない。数字や記録を残して初めて日の光が当たるイチローにとって、140年の歴史を誇るメジャーでも29人しか達成していない3000安打は貴重なアイデンティティーでもあるのだ。