巨人1位・吉川尚輝 父は甲子園球児で母は名セッター
吉川が野球を始めたのは2人の兄の影響も大きい。小学生になるか、ならないかの頃、一番上の友規さん(28)、2番目の圭太さん(25)と一緒に自宅の庭に「野球場」を造った。打席までの距離は大人用の18.44メートル。マウンドには土を盛った。そこで2人の兄と白球を追った。
「家が田んぼの真ん中にポツンとある環境でして、庭といっても田んぼと一体化しているんですよ。稲刈りした後なら走ったりはできます。ただ、稲の根本は残っていますから、ボールはイレギュラーしますよね。柔軟なグラブさばきが身についた? 多少はあるかもしれません(笑い)」(好さん)
■「能力が高いのは親譲り」
愛知県名古屋市出身の母・陽子さん(51)もスポーツウーマンだ。愛知県内の高校を卒業後、東邦ガス女子バレーボール部に所属。身長は163センチでセッターとして全国大会に出場した経歴を持つ。2人は社内結婚である。
陽子さんがこう言う。
「尚輝が中学3年の時、野球をやめようとしたことがあるんです。チームは弱いし、勉強、勉強と言われて窮屈さを感じていたんだと思います。この時は高校野球の夏の予選を見せに行って何とか踏みとどまったんですが、今度は『中京高校に行きたい』と言い出しました(苦笑い)。寮生活だし、同じ岐阜でも遠いんです。ただ、『誰も知らない環境で野球をやりたい』って。末っ子で口数も多い方ではなくて、何を考えているのか分かりかねているところがあったんですが、初めて自分の意見を言ったので、よく覚えています」