ミズノオープンで若手“飛ばし屋”たちが露呈した重大欠陥
これだけ長かったら、長打力の米国チームにはかなわないだろうと思いながら見ていると、優勝したのは一番飛ばない杉原だった。パー4で杉原は3番ウッドでやっと届くホールが多かったが、なかなかボギーを叩かない。正確なドライバーでフェアウエーを捉えて3番ウッドでグリーンに乗せてくる。グリーンは芝目のきついコーライ芝ということもあって、米国選手がパットに苦しむのを尻目に、杉原はグリーンを外してもコーライの芝目を読み切って強気のパットでピンチを切り抜けて勝った。
そのときのことを鈴木に話すと、「ミズノオープンも飛距離よりもどれだけフェアウエーを捉えられるか。300ヤード飛んでもラフに入れたらグリーンを狙えないので、正確なショットと、後はショートゲームの出来いかんにかかっている」と言っていた。
優勝した秋吉は27歳と若いが珍しくフラットなスイングで、体の回転で低く振り抜いている。球筋は弾道の低いフェードボールで、ひっぱたかずにボールを運んでやるようなショットをしている。
20代の若手がトップ10に入っていないのは目いっぱいクラブを振り切って、高い弾道で飛ばしているからだ。強風が吹き荒れる台湾海峡の近くの淡水ゴルフクラブで育った陳清波は「もっと低い弾道で距離を出すスイングを覚えなければチャンピオンになれない」とよく言っている。飛ばそうとして球を高く上げると風の影響でショットは曲がるからだ。
昔、戸田藤一郎は「空にもOBがある」と言って、松の木より球を高く上げないショットで飛ばした。
「振り回して飛ばすことは誰でもできる。しかし、低い球で飛ばす技術を覚えなかったら真のチャンピオンとはいえない」といつも若い選手を叱咤した。