大関とり白星発進…貴景勝の強みは角界随一の圧力と観察眼
まさに鎧袖一触の相撲だった。
10日の3月場所初日、大関とりを狙う貴景勝(22)が、危なげなく白星発進。埼玉栄高校の先輩・妙義龍を立ち合いのぶちかましではじき飛ばすと難なく押し出した。
取組後は「普通です」と話すなど、浮かれた様子もなし。大関とりがかかる場所でも、平常心を維持している。
少年時代から父親とマンツーマンで相撲の稽古に励んだ環境もあって、メンタルの強さは折り紙付き。22歳とは思えぬ落ち着きようで、相撲内容にも安定感がある。
ある親方が言う。
「貴景勝の相撲を簡単に言ってしまえば、相手をよく観察しながらぶつかっていくだけ。それだけなんだが、圧力は角界随一の上に、観察眼にもたけている。力押しで対抗できる力士は限られているし、不用意に反撃に出ようものなら『待ってました』とばかりに、突き落としを食らってしまう。シンプルなだけに逆に対策が立てにくい。今は、どの力士も貴景勝を研究している。例えば貴景勝に4連勝中の御嶽海は、立ち合いの前みつ狙いでプレッシャーをかけている。貴景勝に『油断したらまわしを取られるぞ』と思わせることで、出足を鈍くする作戦です。ただ、それも力自慢で相撲センス抜群の御嶽海だからできる対策法。どの力士もできることじゃない」
大関とりの壁もはじき飛ばしそうだ。