“獲物”が引退で…平幕力士が春場所狙う鶴竜からの「金星」
舌なめずりの音が聞こえてきそうだ。
横綱稀勢の里(32=現荒磯親方)が引退し、「客が呼べる力士」がまたひとり、いなくなった大相撲。相撲協会も困るだろうが、平幕以下の力士たちも同様だ。
なにせ、稀勢の里の金星配給率は歴代でもトップクラス。在位12場所で18個は、1場所平均にすると1.5個ペースになる。これは歴代4位の数字で、全休した場所を除けば8場所18個となり、同2.25個ペース。本場所に出るたびに、2つ以上の金星を配給していたことになる。2017年11月場所の5個配給は、1場所の最多タイ記録である。
そこで次の“獲物”とみなされているのが、鶴竜(33)だ。横綱在位29場所で金星配給は22個。飛びぬけて多いわけではないが、近年は力が衰えてきたともっぱら。右足首のケガに悩まされ、もっか2場所連続休場中である。
「攻め込まれると苦し紛れの引き技で自滅する相撲が多いが、そもそも途中休場した先場所は粘りがなかった。いくら御嶽海や錦木にパワーがあるとはいえ、ロクな抵抗もできずに押し負けていた。当然、対戦相手だってそれを理解した上で、相撲を取る。スピードや反射神経では群を抜いているとはいえ、横綱という地位だけに小手先の技は多様できない。春場所(3月)は苦しいと思いますよ」(ある親方)