日本高校野球は環境変化 “先駆者”米高校球界の過酷な現実
かつて、日本の高校野球は「すがすがしさ」や「高校生らしさ」の象徴であった。
だが、現在、長時間の練習や一部の指導者の体罰などによって「ブラック部活」の典型とされることが珍しくないし、投球数の制限が社会問題化するなど、日本の高校野球を取り巻く環境は徐々に変化している。
これに対し、日本の高校野球の改革が議論される際に投球数の制限などで先駆的な取り組みを行っているとして参照される米国の場合も、高校生の野球を取り巻く環境は複雑で、種々の問題を含んでいる。
とりわけ深刻な問題とされているのが、野球を行う高校生の二極化だ。
ひとつは高校の野球部に入り、州の大会を目指して練習に励む生徒たち。もうひとつは、大リーグ球団からドラフトで指名を受けたり、大学の奨学金を得るために小学生の頃から厳しい競争を勝ち抜き、米国各地から選び抜かれた高校生が集まる「ショーケース」や「エリアコード・ゲーム」と呼ばれる行事に参加、大リーグのスカウトや大学野球部の関係者の目に留まることを目指す選手たちだ。米国には、夏の甲子園のように全国の野球部が参加する統一された大会がなく、各高校の野球部にとって頂点となるのは、地方大会に過ぎない州大会だ。