守護神・川口はアトランタ五輪最終予選のサウジ戦が「ベストゲーム」と振り返った
守護神は「マレーシアはとにかく暑かった。試合は日本がリードしていましたから、早く終わってほしいな、と65分過ぎから何度も時計を見ていました。でも、なかなか進んでいかない感覚なんですよね」と振り返った。
そしてタイムアップの瞬間、28年ぶりの五輪出場に貢献した川口はGKコーチのマリオに抱きかかえられると人目をはばからずに号泣した。
後年、相模原で現役引退となる試合前に川口に当時の話を聞くと「(サウジアラビア戦が)ベストマッチでした」と筆者に振り返ってくれた。
まずは〈弟分〉の五輪代表が、世界への扉を開いたのである。
アトランタ五輪の本大会に向け、日本は3人のオーバーエイジ(OA)枠を使うことができた。
しかし、チームには前園や城、MFの中田英寿や伊東輝悦といったJリーグで実績を残した攻撃陣もいる。
ディフェンス陣も川口をはじめCBの田中誠や鈴木秀人ら伸び盛りの選手が揃っていた。
28年ぶりに苦しみながらつかんだ五輪切符である。城が「オーバーエイジ枠なんて考えられなかった」と言うが、それが選手全員の(五輪本大会のメンバー18名に選ばれるかどうかは別にしての)気持ちを代弁していた。