六川亨氏特別寄稿<上>サッカー界の衰退を止めた炎の守護神

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 12月2日。今季J3最終戦の相模原―鹿児島戦で元日本代表GKの川口能活(43)が、現役最後となる公式戦を完封勝利で飾った。計6クラブでプロ生活25年。Jリーグ通算507試合出場。W杯には1998年仏大会から4大会連続で出場。国際Aマッチ116試合出場は日本歴代3位タイだ。数々の偉大な記録とともに「炎の守護神」は、静かにユニホームを脱いだ。

 94年に横浜M入り。翌95年にレギュラーポジションを奪った。しかし95年は、Jリーグに陰りの見えた年でもあった。

 93年のJリーグ開幕でサッカー人気が爆発。しかし94年米国W杯は「ドーハの悲劇」で本大会出場を逃し、プラチナチケットだったJリーグの観客動員が落ち込み、初めて当日券を販売するようになった。そして迎えた96年3月のアトランタ五輪予選である。五輪出場を逃すようであれば、サッカー界は衰退に拍車が掛かるところだった。

 アジア最終予選でベスト4に進んだ日本五輪代表。五輪の切符をかけた準決勝の相手は当時、アジア最強といわれたサウジアラビアである。

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