「9.11」から20年…米国同時多発テロが米国と米球界に与えた影響
世界を震撼させた米国同時多発テロ、すなわち「9.11」の発生から20年が経った。
「唯一の超大国」の米国にとって、1941年の真珠湾攻撃以降では初となる本土への攻撃は痛恨事となった。それだけでなく、世界の政治、経済、文化の中心地のひとつであるニューヨークの中でもひときわ目立つ世界貿易センタービルが倒壊したことが、とりわけ米国の人々に与えた影響は大きかった。
2004年から13年まで放送された人気テレビドラマ「CSI:ニューヨーク」の主人公マック・テイラー(ゲイリー・シニーズ)は「9.11」で妻を失ったという設定である。また、昨年4月に8シーズン目で終了した「ホームランド」では、物語の初期の準主役であったニコラス・ブロディ(ダミアン・ルイス)はアフガニスタンで8年間戦争捕虜だった海兵隊員として描かれる。あるいは、医療ドラマの最高峰として日本でも広く親しまれた「ER」の主要登場人物であったマイケル・ガラント(シャリフ・アトキンス)は、シカゴのカウンティ総合病院を離れて陸軍の軍医としてイラクに赴き、現地で戦死する。
こうした設定は、作品や登場人物への視聴者の関心を集めることだけを目的として用いられるのではない。むしろ、「テロとの戦い」や「イラク戦争」「アフガン戦争」が米国の人々にとって身近な出来事であるため、これらの話題を織り込むことで作品の真実味をより増す効果を持っている。