エンゼルス大谷翔平の打撃タイトル獲得を阻む中南米出身投手の「忖度」
ア・リーグの長距離砲が熾烈な本塁打王争いを繰り広げている。
43本塁打でトップを走るエンゼルス・大谷翔平(27)にロイヤルズのサルバドール・ペレス捕手(31)が2本差の41本塁打で食いついている。シーズン序盤から大谷としのぎを削ってきた40本塁打のブルージェイズのウラジミール・ゲレーロJr.内野手(22)も交えた三つ巴の様相を呈しているのだ(記録は現地時間6日終了時)。
二刀流の大谷は投手として現在9勝(1敗)をマークし、1918年のベーブ・ルース以来103年ぶりの同一シーズンでの「2ケタ勝利、2ケタ本塁打」が懸かる。一方、ぺレスも偉業に手が届く位置につけており、ホワイトソックスのアブレイユとともに現在リーグ1位タイの103打点と合わせて72年のジョニー・ベンチ(レッズ)以来49年ぶりの捕手による打撃2冠を見据える。
ベネズエラ出身のペレスは捕手2冠が懸かる
親子2代でのタイトル獲得を目指すゲレーロJr.(父親は2004年ア・リーグMVP)も含めて本塁打王争いの行方は最終戦までもつれそうだが、ぺレスが有利だともっぱらだ。
べネズエラ出身のベテラン捕手は15年ワールドシリーズMVPの他、ゴールドグラブ賞5回、シルバースラッガー賞3回と数々のタイトルを獲得し、今やメジャーを代表する捕手のひとりに数えられる。ロースターの3割程度を占める中南米出身者の間ではボス的存在でもある。
ロ軍は今季、8カード(6球団)を残す。アスレチックスのセットアッパーでベネズエラ出身のユスメイロ・ペティット(8勝1敗2セーブ、防御率3.26)ら、各チームとも主力投手には中南米勢が揃う。
多くが10代で渡米し、苦労してマイナーから這い上がってきたヒスパニック系選手は結束が固いといわれる。中南米勢にとって、ぺレスによるア・リーグ捕手史上初の40本塁打に加え、「捕手2冠」達成は悲願でもある。
ペレスは今年の本塁打競争に大谷とともに参加するなど、7回の球宴出場を誇り、他球団の選手にも顔が広い。今後、対戦する球団の中南米出身投手による忖度もあって、本塁打を量産する可能性もあるのだ。
大谷は逃げ切れるか。