沢田研二
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彼こそが日本の「ロックンロール・ボーカリスト」の源流だ
ロックンローラー・沢田研二が「AMAPOLA」を、格別な歌唱力で聴かせる意味について、前回に続いて、考えを巡らせる。 この連載は、ここまで読み続けていただいた方なら分かってもらえる通り、「沢田研二=ロックンローラー」という大...
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当時は意義を見いだせなかった格別な歌唱力
「沢田研二1980-1985」の中で、これほど評価が激変したシングルはない。 当時高3の私が「なんで、こんなスタンダードを、沢田研二が歌っているんだろう?」と怪訝に思いながら、聴いていたことを思い出す。 タイトルはスペ...
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最大のキーマンを再確認させる「すべてはこの夜に」
前回、アルバムの中の曲について「ノンポリシー」と「ナンセンス」がいい、もう1曲加えるなら「8月のリグレット」と書いた。 ただ、別格的な曲が1つあることを忘れてはならない。というか忘れられない──べてはこの夜に」。作詞・作曲は...
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ブレーク直前の秋元康のセンスが光るタイトル
シングル「きめてやる今夜」「どん底」「渡り鳥はぐれ鳥」は売り上げに恵まれなかった。アルバム「女たちよ」は、正直、難解で息苦しい印象が先立ってしまった。 そんな中、このアルバムは、まずジャケットにかっこいい沢田研二、もっと言え...
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ナベプロが新たな柱に社運をかけた状況で、ジュリーの立場は息苦しく…
前回少し出てきたのが、当時まだ18歳の吉川晃司である。 沢田研二と同じ渡辺プロダクション所属(ナベプロ)で、1984年2月1日に華々しくデビューする。 デビュー曲はもちろん「モニカ」だ。編曲は大村雅朗が担当している。...
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これでもかと飛び跳ねる高度な「自虐パロディー」
このシングル発売から約1カ月後、1984年5月31日のTBS系「ザ・ベストテン」のランキングは、 ▼1位:哀しくてジェラシー ▼5位:涙のリクエスト ▼6位:ギザギザハートの子守唄 となっている。もちろん、すべてチ...
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「ルックスと時代との不一致」が向かい風になったのか
「沢田研二の音楽」という連載だが、今回は「沢田研二の髪形」という話を書く。 いつか紹介した近田春夫「定本 気分は歌謡曲」(文芸春秋)という本。1978年から84年までの彼の歌謡曲評論コラムをまとめたものなのだが、84年の章の冒...
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なぜ姉妹曲「2億4千万の瞳」と売り上げで3倍もの差がついてしまったのか
いよいよ1984年がやってきた。 チェッカーズと吉川晃司(沢田研二にとって渡辺プロダクションの後輩)が大暴れしたこの年の音楽シーンは、個人的には大好きで「1984年の歌謡曲」(イースト新書)という本を書いたほど。しかし、そん...
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「胎動」と「混迷」が交錯するシンドイ2年間
本連載もいよいよ最終コーナーに向かう。 1984年の音楽活動として、シングルは2月に「どん底」、4月「渡り鳥はぐれ鳥」。9月に「AMAPOLA」。アルバムとしては6月に「NON POLICY」を発売。 続く85年は、...
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禁じ手から表現が解放された最高に壮大な実験
よーく聴き込むと、魅力的なメロディーはあるのだ。1曲選ぶとすると、4曲目「さすらって」。サビ「都も秋になりましたか」「都は春になりましたか」がしっかりと耳に残る。もしシングルカット枠があったとしたら、この曲だったろう。 しか...
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「和×洋×中」のような異種混合かけ算
2024年秋の文化勲章の報道は「あしたのジョー」で名高い漫画家・ちばてつやの受章をメインとしたものが多かったと記憶する。 しかし、彼と同時に受章した残り6人のラインアップを見て、コアな沢田研二ファンは「あっ」と思ったのではな...
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「日本人の心」対「ハート」の噛み合わなさ
グループサウンズ(GS)時代の沢田研二と、この曲の作曲者である当時ブルー・コメッツの井上忠夫(のち「大輔」)との関係は磯前順一「ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた」(集英社新書)に詳しい。 まず井上忠夫は「週刊明星」(...
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内田裕也版のまま歌ってみたら良かったのに…
先に褒めておくと、タイトルがいい。「きめてやる今夜」──かっこいいじゃないか。また売上枚数は「背中まで45分」「晴れのちBLUE BOY」を超えた。「起死回生」とまではいかないが、追い風が吹いた感じだ。 ただ実際に曲を聴くと...
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タモリが「歌う日露戦争」と評した圧巻の紅白歌合戦パフォーマンス
「WEEKLYオリコン」(オリジナルコンフィデンス)の1983年5月13日号に掲載された沢田研二のインタビューに、こういうくだりがある。 ──<──今度の衣裳のイメージは、どういう感じになるんですか? 「えーとね、“変態...
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時代の最先端に立つキレッキレの才能が集まったが…
沢田研二が表紙になっている「WEEKLYオリコン」(オリジナルコンフィデンス)の1983年5月13日号に掲載されている沢田研二のインタビューから。 ──<──詞の銀色夏生さんというのは、どういう方なんですか? 「新しい...
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大村雅朗による、原始人の祭りのような編曲は前代未聞にして空前絶後
作曲は大沢(現=大澤)誉志幸。この連載で追ったように「82年沢田研二プロジェクトの新顔」だった。「新星」と言い換えてもよいだろう。 だが、前回書いたように、この曲の最大の貢献者は「83年の新顔・新星」である編曲の大村雅朗だと...
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劇的にかっこいい!1983年には「早過ぎた1曲」にKOされた
チューリップが1976年にリリースした、ビートルズのカバーアルバムのタイトルは「すべて君たちのせいさ All Because Of You Guys」(余談ながらチューリップの財津和夫と沢田研二は2人とも48年生まれ)。 こ...
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ムソリーニの孫娘アレッサンドラ作詞のバラード歌唱がずぬけている
アルバムとして全体をあらためて聴き込むと、やはり企画物ということだろうか、オリジナルアルバムとは違い、食い足りなさが残るのが正直なところである。 特に、当時の時代を代表する女性たちが書いた歌詞と、沢田研二の作るメロディーが合...
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「翔んでる女」から「渋谷系」に補助線が引ける不思議なアルバム
まったくもって不思議なアルバムである。 全曲の作曲は沢田研二、全曲の演奏はエキゾティクス、全曲の編曲はエキゾティクスのメンバー(吉田建、柴山和彦、西平彰)。ここまでは想定の範囲内だが、作詞陣がまさに想定の範囲外。 1...
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湯川れい子の歌詞はザ・タイガースのメンバーやファンを強く意識している
作詞は湯川れい子。1980年にシャネルズ「ランナウェイ」、81年に松本伊代「センチメンタル・ジャーニー」、84年にアン・ルイス「六本木心中」(編曲は伊藤銀次)、85年に小林明子「恋におちて-Fall in love-」と作詞家として...
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テクノポップな響きは、今聴いてもかなり魅力的だ
冒頭を聴いているとC-C-Bの「Romanticが止まらない」(1985年)かと思ってしまうテクノポップな響き。そして多くの人は思うだろう──「ザ・タイガースにこんなシングルあったっけ?」 そう、率直にいえば売れなかった。売...
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陽水があの柔らかい声で一言だけ…人生屈指の威圧感が虚脱感に変わった
今回は、いきなり余談から。 前回書きかけた、2019年春の井上陽水のコンサート(東京国際フォーラム)に、ご招待されたときの話の続き。 繰り返しになるが、そもそも私なんかが招待していただいたのは、私とマキタスポーツが出...
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実にゆったりと楽そうに歌っている感じがする
シングルが発売された1983年元日時点で「背中まで45分」のバージョンは3つあった。 1つはもちろん、その日発売された、沢田研二のニューシングル。2つ目は、すでにご紹介した前年12月10日発売の「MIS CAST.」収録バー...
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「陽水」が広くまかれた環境で発売されていたら、もっと売れたのでは?
実験的な曲、そして「特区」のような曲だと前回書いた。 ただ、フォローするわけではないものの、1983年新年早々、この井上陽水の作詞・作曲による「特区」ソングを、高1の身で初めて聴いたときには、とにかく唖然としたものだが、今聴...
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新年早々に初めて聴いたとき、口をポカンと開けましておめでとうになってしまった
1983年=昭和58年が明けた。 街は映画「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」で盛り上がっている。この作品に、動物園のチンパンジー飼育係として働く三郎を演じたのが沢田研二、そしてマドンナは田中裕子だった。 この作品は最終...
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「1983年の沢田研二」は一筋縄ではいかない年。冷静に迫っていきたい
連載タイトルの年代表記「1980-1985」を2つに分けると、前半が「1980-1982」、後半が「1983-1985」ということになる。 つまりここで連載が後半に入る。おそらく多くの方が予感しているように後半は、前半の派手...
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萩原健一(2)「相手は美人の国際スター、チャンスよ」
ショーケンの「ザ・テンプターズ」は1970年に解散して、沢田研二の「ザ・タイガース」のメンバーと「PYG(ピッグ)」を結成するが、ショーケンとジュリーの互いのファンが相殺したためうまくいかず、わずか1年で解散する。 その頃テ...
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ずぬけたロックンロールに艶やかな歌詞が「ジャスト フィット」
このアルバムの中で、個人的にもっともお気に入りで、何度も何度も聴いた曲、といえば「ジャスト フィット」に他ならない。「そうそう、私も」という人も多いのではないか。井上陽水バージョンでも知られ、彼のファンの中でも認知度が高い一曲である...
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井上陽水にしか書けない「ナンセンス・ダンディー」の世界
「意欲作」だ。「問題作」と言い換えてもいい。 「MIS CAST.」というタイトルからして意味深。このアルバム全曲の作詞・作曲を担当した井上陽水が「ミスキャスト」かどうかを問うているような感じがするからだ。 アルバムへの...
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三浦徳子の挑戦的な歌詞が30代の「ヤバい僕」を演出することに成功した
作曲=西平彰、編曲=白井良明という新作家陣に触発されたのだろうか。三浦徳子の歌詞も、かなり挑戦的なものとなっている。 歌われるのは、自分を愛してくれる女性がいるにもかかわらず「眠れない」「生きてない」、つまり満足できないとい...