週末に読みたいこの1冊
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「わたつみ」花房観音著
主人公は、上京して夢だった映画製作を始めたものの、男にダマされて借金をつくり、故郷に帰らざるを得なくなった京子33歳。 田舎は人間関係が狭く、何もかもがあっという間に噂話となって伝わってしま…
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「みすゞと雅輔」松本侑子著
2014年、詩人・金子みすゞの実弟、上山雅輔の約70年にわたる膨大な日記と回想録が発見された。 みすゞが20歳で雑誌に詩を投稿し始めてから26歳で自死を遂げるまでの時期も含まれ、本書は、その…
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「三流の維新一流の江戸」原田伊織著
薩摩・長州藩士が、封建的な徳川体制を打ち破り、西欧列強諸国による植民地化を防いで、日本を近代国家にしたというストーリーで語られる明治維新。果たして戦後日本人が学んだ近代史は、正しかったのか。 …
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「愛しの富士そば」鈴木弘毅著
著者は、小学生時代からひとりで暖簾をくぐるほどの無類の駅そば、立ち食いそば好き。その著者が立ち食いそば・うどんチェーン店の大手「名代 富士そば」全国116店の実食をし、その成果をまとめ上げたのが本書…
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「ローカルブックストアである福岡ブックス キューブリック」大井実著
福岡市のけやき通りにある小さな総合書店「ブックス キューブリック」は特色ある店づくりで、本好きには有名な書店。本書は、小さな書店が次々と閉店する時代に地方で書店を立ち上げた著者による本屋起業顛末記。…
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「税金亡命」佐藤弘幸著
近年、悪質な脱税者の数が増加の一途をたどり、その手口も複雑化しているという。また脱税スキームを入れ知恵する税理士や国税OBも存在し、国税庁も頭の痛いところ。本書は、アジア屈指のタックスヘイブン・香港…
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「情人」花房観音著
1995年1月17日。神戸の公立高校に通う高校3年生の笑子は、尋常ではない地鳴りの音で目を覚ました。大きな揺れに襲われ、まだ暗い早朝、声を出し合って父や兄と無事を確認し合う。ところが京都に里帰りして…
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「ホッピー文化論」ホッピー文化研究会編
愛好者の間で長年飲まれてきた「ホッピー」。焼酎に自分好みの量を注いで割って飲むための「割り物」としての存在でありながら、その愛好者は長年絶えることがない。本書は、そんなホッピーを巡る物語を、ホッピー…
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「嘘ですけど、なにか?」木内一裕著
主人公は、32歳独身の文芸編集者・水嶋亜希。愛人候補の女の写真を単行本の装丁に使いたいとごねる作家が出現すれば、おだてながらもひどい表紙にならないように上手に誘導し、小説の映画化が流れて嘆く女流作家…
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「鬼手 小早川秀秋伝」大塚卓嗣著
秀吉の養子として育てられ、豊臣家に身を捧げる使命を背負っていたはずが、関ケ原の戦いで東軍に寝返ったことで、裏切り者のレッテルを貼られてきた小早川秀秋。優柔不断で無能な者として描かれることの多かった秀…
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「こちら文学少女になります」小嶋陽太郎著
主人公は、青年向け漫画誌「ヤングビート」に配属されたばかりの新人編集者・山田友梨。根っからの文学少女だったため、入社試験を受けた際には文芸部門に配属されるよう熱心にアピールしたのだが、なぜか漫画部門…
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「落陽」朝井まかて著
東京の喧騒を忘れさせる豊潤な緑の森であり、多数の参拝者が訪れる明治神宮。この神宮造営を巡る物語を2つの異なる視点で描く。 時は明治45年。主人公は大手新聞社を女性絡みの悶着で辞め、今は醜聞を…
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「危険なビーナス」東野圭吾著
主人公は、町の小さな動物病院の院長代理として働く獣医・手島伯朗。ある日、診察中の伯朗のもとに、楓という女性から一本の電話が入る。楓によれば、伯朗とは没交渉になっている異父兄弟の弟・明人と去年、仕事先…
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「ジハーディ・ジョンの生涯」ロバート・バーカイク著 野中香方子訳
イスラム過激派組織ISILに所属し、カメラの前で人質の首を切り落としたとされる黒覆面の死刑執行人「ジハーディ・ジョン」。その映像は、あっという間に世界中に広まり、多くの人々を戦慄させた。 身…
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「津軽双花」葉室麟著
徳川家康の姪である満天姫は、福島正則の養嫡子・正之に嫁いで直秀を産んだが、正之が廃嫡となった末に幽閉されて亡くなったため、直秀を伴って実家へと戻っていた。そんな満天姫のもとに、津軽信枚との縁談話が持…
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「娼婦たちから見た戦場」八木澤高明著
戦場と性の関係は、古代から現代まで連綿と続いてきた。血なまぐさい土地では、市場で物品が売買されるのと同じように娼婦たちが春を売る。本書は、カメラ片手に世界の紛争地を巡り歩いてきた著者が、娼婦たちを通…
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「玉依姫」阿部智里著
主人公は、両親を交通事故で亡くして、祖母と暮らしている高校生の葛野志帆。そんな志帆の元にある日突然、伯父を名乗る男が現れる。伯父が10歳のとき、祖母は志帆の母の由美子だけを連れて山内村を飛び出したと…
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「枕元の本棚」津村記久子著
幼いときから何度も眺めていた本や、創作意欲をかきたてる刺激的な本など、芥川賞作家がセレクトした58冊の読書エッセー集。文学史をなぞるような本を多く選んでいるかと思いきや、さまざまな実用書や図鑑、経済…
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「悪いヤツほど出世する」ジェフリー・フェファー著、村井章子訳
「信頼を得よ」「頼れる人であれ」「真実を語れ」「控えめであれ」など、世間にはさまざまなリーダー論があふれている。しかし社会を見れば、部下を失望させ、組織を破綻に追い込む権力者の輩出には事欠かない。なぜ…
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「犬死伝」小嵐九八郎著
主人公は、江戸赤坂に住む小島四郎左衛門将満。郷士にして大地主の小島兵馬の三男として生まれたが、長兄は亡くなり、次兄は旗本にもらわれたため、跡取りとして育てられた。 農村の生活を知る四郎は、自…