週末に読みたいこの1冊
-
「ものと人間の文化史180 醤油」吉田元著
日本料理に欠かすことのできない発酵調味料・醤油。その定義は「大豆、小麦、塩を主な原材料とし、こうじ菌を培養したものに食塩水を加えたものを発酵させ、熟成させて得られた清澄な液体調味料」となっているが、…
-
「わかって下さい」藤田宣永著
65歳の声を聞くと、あとどれくらい元気でいられるか、墓はどうしようかとか、残りの人生を気にし始める。そんな年代にさしかかった6人の男を描いた短編集。 表題作は、定年後、家で時間を持て余してい…
-
「雇用は契約」玄田有史著
ブラック企業、ブラックバイトなどの言葉が生まれる昨今、働き方や処遇について働く人自身がより注意を払って入社を決めるケースが増えている。 かつての終身雇用の時代には、処遇についても「悪いように…
-
「路上のX」桐野夏生著
中学卒業の目前、真由は両親から、借金を返すために夜逃げすることをいきなり告げられる。それから4カ月、真由は叔父の家に預けられ、合格した私立ではなく叔父の家に近い公立高校へ通っていたが、まともな食事も…
-
「悪徳の輪舞曲」中山七里著
御子柴礼司は、14歳のときに近所の幼女を殺害し、遺体の各部位を郵便ポストやさい銭箱に配って回ったことから〈死体配達人〉と呼ばれ世間を驚愕させた。医療少年院を出所後、弁護士資格を取得。やり方と報酬額は…
-
「織田家臣団の謎」菊地浩之著
どんな出自の者でも、才覚があれば出世が可能な実力主義というイメージが強い信長の率いる織田家臣団。しかし史料をあたると、出自不問とは言い切れないさまざまな処遇があった。著者は、信長がいかにして最強の家…
-
「最高のおもてなし!」竹田新著
日本で最も有名な豪華客船といわれた「竜王丸」は、第2次世界大戦時に敵の魚雷で沈没した。しかしその際、乗船していた乗組員のほとんどが無事だったことから、奇跡の船とも呼ばれていた。そんな伝説の船が沈没し…
-
「宿命の戦記」髙山文彦著
日本財団会長の笹川陽平は、1974年、笹川記念保健協力財団を設立。ハンセン病根絶を目標に掲げ、WHOに対して資金提供を始める。以後、40年間で202億円を拠出、同時にハンセン病の特効薬MDTの無料配…
-
「奇跡の大地」ヤア・ジャシ著、峯村和哉訳
物語は、奴隷貿易が盛んだった18世紀のアフリカから始まる。ファンティ族に属するエフィアは、生まれた夜に炎が大地を暴れまわったせいで、村人から「火の化身」と噂され、第1婦人のバアバからつらく当たられて…
-
「マイパブリックとグランドレベル」田中元子著
夫と建築にまつわる企画や編集の仕事をしてきた著者は、神田の築50年の小さなビルの4階に事務所を構えた。2人で使うにはやや広く、デッドスペースにバーカウンターを設置して来客や仕事仲間にオリジナルの「建…
-
「珈琲が呼ぶ」片岡義男著
珈琲が登場する小説を数多く書いている著者による、珈琲だけをテーマにした初の珈琲エッセー本。 レコードや映画に登場する珈琲や、執筆場所としてお気に入りの珈琲喫茶の変遷、珈琲の値段や注文の仕方な…
-
「ハリケーン」高嶋哲夫著
首都直下地震を想定した「M8」、東海・東南海・南海地震の同時発生を警告した「TSUNAMI 津波」など、自然災害を題材にしてきた著者が、常態化する異常気象の危機を訴える災害サスペンス小説。 …
-
「テーラー伊三郎」川瀬七緒著
主人公は、母親と2人で田舎町に暮らす男子高校生・海色(アクアマリン)こと通称アクア。キラキラネームをつけられた上に、母親はエロ漫画家という周囲とは違いすぎる状況を抱えているアクアにとって、閉鎖的な村…
-
「やっぱり友だちはいらない。」押井守著
いまの世の中、「友だちがいない」などと言ったりすると、人間性に重大な欠陥があるかのように見なされてしまう。しかしそんな風潮に対して、「いない」のではなく「いらない」と言ってのけるのが、「機動警察パト…
-
「社会保障クライシス」山田謙次著
2025年、75歳以上の高齢者は2200万人に達し、総人口の約18%を占める。これは団塊の世代800万人が後期高齢者となり、医療と介護に膨大な費用がかかることを意味する。しかも、それを支える40~5…
-
「森家の討ち入り」諸田玲子著
赤穂四十七士の討ち入りは、主君の無念を晴らす行いとして称賛されてきた。しかし47人のうち、神崎与五郎、横川勘平、茅野和助の3人は、赤穂の隣国・津山森家の旧臣で、討ち入りの少し前に赤穂藩に召し抱えられ…
-
「食と健康の一億年史」スティーブン・レ著、大沢章子訳
現代の健康問題は、祖先が守ってきた食を含めたライフスタイルを変えたことや環境の変化に原因があるのではないか――。そう考えた自然人類学者が、世界中を旅しながら人類の祖先がどのように食べ、どのように生き…
-
「スティール・キス」ジェフリー・ディーヴァー著、池田真紀子訳
ライムのパートナー、ニューヨーク市警刑事のアメリア・サックスは、〈未詳40号〉と名づけた殺人犯を確保するべくショッピングセンターへ急行する。特徴的な体の40号はすぐに見つかり、いざ確保というとき、エ…
-
「エッグマン」辻仁成著
主人公は、元料理人の佐藤次郎こと通称・サトジ。14年前に居酒屋で会った女性・マヨへの恋心を心に秘めたまま、彼女が結婚して出産する過程を憧れの気持ちで見ていたものの、突然、彼女は姿を消し、シングルマザ…
-
「移植医たち」谷村志穂著
1984年秋、臓器移植の最先端を担うドクター・セイゲルが来日し、講演を行った。聴講者の中に3人の医師がいた。 久南大の佐竹山行蔵は肝臓がん患者を前になす術もない己の無力さを痛感し、移植医療に…