週末に読みたいこの1冊
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「すべての見えない光」アンソニー・ドーア著、藤井光訳
第2次世界大戦末期。フランスのブルターニュ地方のエメラルド海岸にある古くからの城壁に囲まれたサン・マロの市街地は、徹底抗戦を訴えるドイツ軍を追い出すべく、連合軍による激しい砲撃が始まろうとしていた。…
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「トップリーグ」相葉英雄著
松岡は大和新聞に入社して15年目の記者。経済畑を歩んできたが、政治部への異動を命じられる。慣れぬ政治部だが、なぜか政権の中枢である阪官房長官に気に入られ、官房長官番という大役に就くことに。 …
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「戦国、夢のかなた」岡本さとる著
徳川軍の将・坂崎出羽守の軍陣で、ある青年が意識を取り戻すところから物語は始まる。体中に傷を負っている上に自分が誰であるかという記憶がない。 六車大蔵という仮の名をもらい、門様と呼ばれる赤木森…
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「引き潮」R・L・スティーヴンスン&ロイド・オズボーン著、駒月雅子訳
「ジキル博士とハイド氏」と「宝島」で有名なスティーヴンスンが、生前最後に発表した作品で、継子との共作。 南太平洋、タヒチの浜辺に流れ着いた3人の男。オックスフォード出身でインテリのへリック。ニ…
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「日本殺人巡礼」八木澤高明著
2013年7月21日、山口県周南市で、近隣に住む高齢者5人が連続して殺害・放火された。この事件は閉鎖的な村社会で起きた連続殺人であり、横溝正史の「八つ墓村」のモデルとして知られる津山事件との類似が指…
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「天国の南」ジム・トンプソン著、小林宏明訳
主人公は、テキサスの油田パイプラインでひと稼ぎしようと流れてきた青年・トミー。オクラホマで生まれ、奨学金をもらって大学に行けるかもしれないと思っていた高校生のとき、唯一の親族の祖父母がダイナマイトの…
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「国士」楡周平
主人公は、カレー専門店「イカリ屋」の創業者篠原悟。全国に900を超える店舗を構えるカレーショップチェーンとして成長してきたイカリ屋は、直営店と脱サラ組が始めたフランチャイズ店とが協力し合い、日本一の…
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「永い眠り」スティーブン・P・キールナン著、川野太郎訳
生物学者のケイト・フィーロらを乗せた調査船は、北極海を航海中、これまでにない巨大な〈候補氷山〉に遭遇した。候補氷山とは、極めて急速に冷却することで、周囲の生物が生存していたときの条件すべてが保存され…
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「病巣」江上剛著
主人公は、総合電機メーカー芝河電機に勤める瀬川大輔。赴任先のミャンマーの発電所を落札するため、中国・韓国に勝てる受注額を巡ってギリギリの攻防をしていたが、突然本社から赤字額での落札の指示が飛び、納得…
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「古都再見」葉室麟著
これまで九州に足場を置いていた著者が、一昨年、京都に仕事場を構えた。本書は、1年4カ月におよぶ京都暮らしについて書かれたエッセー集。 話題は多岐にわたる。平安神宮の薪能の舞台を眺めながら、亡…
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「ハイド」ダニエル・ルヴィーン著、羽田詩津子訳
ロバート・ルイス・スティーブンソンによって1886年に刊行された古典的名著「ジキル博士とハイド氏」。ある人間が、善を象徴するジキル博士から悪を象徴するハイド氏に変身するというストーリーは、その斬新な…
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「教養としての社会保障」香取照幸著
著者は厚労省の年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを歴任。介護保険法、国民年金法、男女雇用機会均等法等を担当、内閣官房内閣審議官として「社会保障・税一体改革」を取りまとめている。本書は、「ミスター年…
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「できない脳ほど自信過剰」池谷裕二著
脳科学の視点から、記憶や感情、人間の特性などについての考察をまとめた「週刊朝日」で人気の連載エッセー。日常のさまざまな出来事の背景にある最新知見を、研究データを基にわかりやすく紹介している。 …
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「暗手」馳星周著
かつてノーヒットノーランを記録した日本プロ球界のヒーロー、加倉昭彦。しかし肩を故障し、台湾のプロ野球で再起を懸けるが八百長に手を染め、闇世界に沈んでいく……。あの「夜光虫」の加倉が、19年ぶりに復活…
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「誓います」ダン・サヴェージ著、大沢章子訳
中心人物は、D・Jという養子を育児中のダンとテリーの同性カップル。本書は、ふたりがさまざまな外野の声に右往左往しつつも「結婚」について考え、互いが納得できる形を見つけていく過程をユーモラスに描いたノ…
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「プレイガイドジャーナルよ 1971~1985」村元武著
東の「ぴあ」、西の「プレイガイドジャーナル」と並び称された、70~80年代のサブカルチャーを牽引した情報誌、通称「プガジャ」には、思い入れのある人も多いだろう。本書は、1971年の創刊編集長であり、…
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「日本の『いい会社』」坂本光司&法政大学大学院 坂本光司研究室著
日本をさまざまな角度から発掘する「シリーズ・ニッポン再発見」の第6弾。同シリーズは今まで、「マンホール」「銭湯」などディープなテーマを掘り下げてきたが、今回のテーマは「会社」。北海道から福岡までの、…
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「聖書と歎異抄」五木寛之、本田哲郎著
「歎異抄」の「善人ですら救われるのだ。まして悪人が救われぬわけはない」という親鸞の言葉と、「聖書」の「私が来たのは、真っ当な人のためではなく、罪びとのために来た」というイエスの言葉に共通の考えを見いだ…
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「ライオン・ブルー」呉勝浩著
主人公は、故郷である田舎の獅子追交番に配属されたばかりの警察官・澤登耀司巡査、30歳。表向きは倒れた父親の面倒を見るために希望しての異動だったが、本当の理由は、同期の長原信介がこの交番で働いていたの…
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「BAR物語」川畑弘著
開高健が通った赤坂のバー「木家下」のマスターがある日、開高から「いいバーの条件とは何ぞや?」と聞かれた。答えは「店がヒマなこと」。つまり客は見知ったマスターの顔を見て冗談を言ったり、愚痴を聞いてもら…