週末に読みたいこの1冊
-
「マフィア帝国ハバナの夜」T・J・イングリッシュ著、伊藤孝訳
米国との国交回復で注目を浴びるキューバの歴史をひもとけば、独裁政権下で勢力を伸ばしたマフィアの暗躍があった。本書は、キューバ革命の裏側で首都ハバナを舞台に繰り広げられたマフィアの興亡史だ。 …
-
「奔走老人」谷川洋著
定年まであと5年というところで妻を亡くした著者は、今後の人生を考えた。3人の息子も巣立ち、妻も亡くなり、ひとりになったときに何をすべきか。ありきたりのプランしか思い浮かばないまま、定年まであと2カ月…
-
「たまちゃんのおつかい便」森沢明夫著
2年前から大学進学のために都会暮らしをしていた「たまちゃん」こと、葉山珠美は、意味を見いだすことができなくなった大学生活に見切りをつけて故郷に戻ってきた。足腰が弱り、車にも乗れない故郷のお年寄りが買…
-
「1974年のサマークリスマス」柳澤健著
かつて、TBSラジオの深夜放送「パックインミュージック」のパーソナリティーとして活躍したアナウンサー・林美雄がいた。金曜(木曜深夜)の午前3時から午前5時までという時間帯に、たいした期待もされないま…
-
「男の詫び状」野坂昭如著
平成15年に脳血栓で倒れてから、長期にわたってリハビリのかたわら執筆を続け、昨年末に亡くなった野坂昭如。本書は、そんな野坂が「通販生活」の紙上で交友のあった著名人との間に交わしたやりとりを単行本化し…
-
「古い洋画と新しい邦画と」小林信彦著
週刊文春の連載「本音を申せば」の単行本化18弾。タイトルの通り、戦前から現代に至るまでの映画をずらりと並べ、あの頃の、そして今という時代を語るエッセー集だ。 米国の批評はおかしくなっているの…
-
「野球酒場」前田恵著
現役を終えた後、飲食業を始めるプロ野球選手は多い。全国遠征で飲み食いの豊富な経験を持つ彼らが開いた店はどんな店なのか、そして昔は語れなかったことも今なら語ってくれるのではないか。そんな期待を抱いた記…
-
「欽ちゃんの、ボクはボケない大学生。」萩本欽一著
物忘れが多くなってきた欽ちゃんは、認知症予防のために73歳で大学を受験して大学生になった。入学したのは駒沢大学仏教学部。茨城ゴールデンゴールズの監督をしていたときに知り合った中畑清の母校で、仏教を学…
-
「エミリの小さな包丁」森沢明夫著
主人公は、信頼していた人に裏切られ、仕事もお金も居場所も失った25歳のエミリ。両親はエミリが10歳のときに離婚、父親にはすでに別の家庭があり、母親には恋人がいて帰れる家庭はない。 さらに仲の…
-
「音楽に自然を聴く」小沼純一著
テクノロジーの進歩のおかげで、多くの人が「音楽」と呼ぶ再生される音を日常生活のなかで聴くようになった。一度きりの音楽が特定の場で奏でられていた時代と違い、スタジオで何度も演奏された音から良く出来たテ…
-
「向田理髪店」奥田英朗著
北海道中央部の過疎の町・苫沢町。かつて炭鉱で栄えた町も、今や衰退の一途をたどり、人口流出が止まらない。 そんな苫沢町の「向田理髪店」の店主・向田康彦は、札幌で大学生活を送って広告会社に就職し…
-
「民主主義をどうしますか。」山口二郎著
民主主義の危機を訴える人々の声が高まっている。立憲主義の基本を理解しないまま、反対派や少数派の存在そのものを否定し、異を唱える言論に圧力を与える政権のやり方が、近年ますます目立つようになってきたから…
-
「吼えよ 江戸象」熊谷敬太郎著
治安が悪化し、鬱屈した空気が蔓延していた享保の時代。将軍吉宗は、不満のたまった人民を喜ばせる奇策として、シャム国から取り寄せた白象を長崎から江戸まで移送せよとの命を下した。船で一気に運ぶのではなく、…
-
「花が咲くとき」乾ルカ著
札幌に住む主人公・瀬川大介は、クラスメートからのいじめや成績にうるさい両親のもとで鬱屈している小学6年生。友人もなく、隣家の指が2本ない質屋の老人・佐藤北海の行動を観察するのが唯一の趣味だった。 …
-
「北海道の逆襲」井上美香著
北海道新幹線が開通して、昨今何かと話題になる北海道。寄せられる期待に対して、その実態と今後の展望はどうなのか。本書は、札幌生まれの著者がご当地の特色や道産子気質、内地人が知らない北海道のトホホな実態…
-
「コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。」片岡義男著
大学卒業後、3カ月の会社員生活を経てフリーランスのライター生活に入り、1974年に作家としてデビューした著者。本書は、作家デビューするまでライターとして過ごした日々を、その時々に流れていた音楽と共に…
-
「1980年代」斎藤美奈子、成田龍一編著
政治経済から社会や思想や文化まで、1980年代の事象をさまざまな切り口から読み解いたアンソロジー集。 バブル期として語られることの多い80年代は、旧来の戦後思想とは明らかに異なる「戦後の転換…
-
「家康、江戸を建てる」門井慶喜著
天正18年、豊臣秀吉は徳川家康に関東八カ国の提供を提案する。小田原征伐の功に報いるというのが表向きの口実だが、低湿地が広がる未開の地の関東と、家康の所領である駿河、遠江、三河、甲斐、信濃を交換するの…
-
「中谷宇吉郎 雪を作る話」中谷宇吉郎著
物理学者で雪の研究の第一人者だった著者がつづった珠玉の随筆集。明治33年に石川県に生まれ、ヨーロッパ留学の後、北大理学部で雪の研究に魅せられた著者は、人工雪の製作や天然雪の結晶写真の撮影にのめり込ん…
-
「監督たちの高校サッカー」青柳愛・笠井さやか著
全国高校サッカー選手権大会でピッチリポーターを経験した2人の人気アナウンサーが、カリスマといわれる名監督の素顔を追いかけ、その人柄やサッカーの指導理論、教育者としてのポリシーなどを掘り下げた一冊。 …