「犬死伝」小嵐九八郎著

公開日: 更新日:

 主人公は、江戸赤坂に住む小島四郎左衛門将満。郷士にして大地主の小島兵馬の三男として生まれたが、長兄は亡くなり、次兄は旗本にもらわれたため、跡取りとして育てられた。

 農村の生活を知る四郎は、自らの娘でさえ生活の厳しさのために身売りに出さなければならない農民の生活の苦しさを知っていたため、「年貢半減」と「倒幕」という夢を抱くようになり、「青雲隊」を結成。後の西郷隆盛である薩摩藩の西郷吉之助との出会いを経て、相楽総三と名乗るようになり、幕府に揺さぶりをかけるべく強盗や放火に及んだ。しかし、そうした志と反するかのように、いつしか薩摩に裏切られ「偽官軍」と呼ばれて追われる身となっていく。

 幕末期、相楽総三が率いる青雲隊が赤報隊となっていく過程や、その後の歴史をもとに描かれたフィクション。世直ししたい一心で理想に燃えて突き進む青年の目を通して、混乱極まった江戸で起きた駆け引きと悲劇を追う。(講談社 1900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭