そこに昭和がある旅
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16日に閉店するCD販売店 時代の荒波に抗い商売を続けてきた店主の思い(大阪・岡町)
「え~っ、CDショップってまだあるんやぁ」「わっ、あれカセットテープやんかぁ」 女子中高生たちが目を丸くし、黄色い声を上げながら店の前を通りすぎる。少し前なら、フン、時代遅れで悪うございます。…
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今では商店街で最も古い店に…米屋の主人が庄内の「もとだての米」を扱うまで(横浜)
根岸線の港南台駅からバスで15分ほど、横浜市栄区の犬山町は昭和40年から50年代にかけて大規模開発が行われた丘陵地だ。広く区画整備された住宅地に米屋「やましょく」はある。 「昭和49年に新大船…
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板橋区・イナリ通り商店街(下)街のテコ入れにひと役買う主人の気概
前回、板橋本町駅からほど近いイナリ通り商店街の成り立ちについて、商店街会長の佐藤さんから話を伺った。 そちらを訪ねるよう勧めてくださったのは、駄菓子屋ゲーム博物館の岸昭仁さん。 清水…
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板橋区・イナリ通り商店街(上)時計・眼鏡屋の店主が語る高度成長期の賑わい
先日、訪れた喫茶アルファのご主人から「この先に自動車が通れないような道幅の商店街があって、あそこも長くやっている人が多いよ」と教えられ、中山道をさらに進むと、やがて左手にそれらしき、自転車でもすれ違…
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昭和元年創業の壮絶な歴史を持つ洋食店(大阪・心斎橋)特製オムライスに“チョコレート”?
おいしくなぁれ、おいしくなぁれと念じ、客の笑顔を思い浮かべながら根気よくハンドルを回す。スーッ、スーッと、雑音は全く聞こえない。よし。完璧な「チョコレート」ができた。これがなければ、看板の人気料理は…
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昭和37年創業の和菓子店(板橋・大谷口)材料費高騰も子供が小遣いで買える菓子を作り続ける矜持
日大病院の裏手辺りを何げなく歩いていたら、やや唐突に「パステル宮の下」と書いた堂々たるアーチが目に入った。 商店街といえば、大抵駅前から続くもので、有楽町線千川や小竹向原、東武東上線中板橋や…
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舞妓さんの下駄も作る履物屋(京都・祇園)3代目が語る店の足跡と夢
リンリン、チロリン……。 一歩踏み出すたびに、足元からかわいらしい音が響く。置き屋に住み込んで稽古を重ね、晴れてデビューを迎えた舞妓さんが「おこぼ」と呼ばれる下駄を履いて歩くときの音色だ。京…
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72歳の主人が営む喫茶店(東京・板橋)リンゴの飾り切りとゲーム機、手作りカレー
賑やかな板橋の仲宿商店街も、石神井川を渡った本町辺りまでくると人の流れは落ち着く。このまま西が丘のサッカー場まで歩いてもなあ……と踵を返すと趣のある喫茶店が目に入り、ふらりと立ち寄った。 店…
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兵庫・西宮で創業55年 昼夜フル稼働の食堂をイスラエル軍特殊部隊の元兵士が継ぐまで
2代目は22年前、21歳の時に飛行機に乗ってやってきた。ベン・グリオン国際空港からフランクフルトを経由して関西空港へ。そう、創業55年の老舗の味を継いだのは、イスラエルの若者だった。 名前は…
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17代目中村勘三郎も贔屓にしたせんべい屋(神楽坂) 2代目店主が明かすこだわり
飯田橋の方から神楽坂をしばらく上ると、毘沙門天・善國寺がある。飲食店で賑わう中にあるシンボリックな寺で、参拝客が後を絶たない。 この毘沙門天の対面にせんべい屋がある。店内に入って中をぐるりと…
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さびれた商店街で気を吐く和菓子店(大阪・服部)2代目店主の意地と反骨心
♪僕が初めて 君を見たのは 白い扉の 小さなスナック……。 阪急宝塚線の服部天神駅から西へ歩いて5分。昭和の時代に大にぎわいしたエリアがある。通称「ちろりん村」。サッカーグラウンド半面ほどのス…
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3代続くクリーニング店(板橋・ときわ台)“駆け込み寺”その成り立ちと足跡
以前、板橋は幸町の西村洋服店で「ウチぐらい古い店もなくなっちゃったねぇ……ときわ台のクリーニング屋があるかな」と聞いたのを思い出し、そちらへ足を運んだ。 田園調布に似た閑静な住宅街の広がる北…
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大正3年創業の豆腐店(東京・上野桜木)2代目店主が語る在りし日の思い出
豆腐店は朝が早いといわれる。 だが、「昔は朝じゃない。夜中だよ」と言うのは大正3年創業の豆腐店「藤屋」の2代目店主・高橋敬さん(86)だ。 敬さんの父親で初代店主・藤吉さんは新潟出身…
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開業は50年以上前 大阪・曽根「俊成整骨鍼灸院」2代目院長の矜持
子どもの頃、暴力団のお兄さんたちにかわいがられた。 家の前で友だちとキャッチボールをしていると「おう、坊主、元気か。頑張れよ」。またある時は「おう、坊主、これでも食えや」と、おやつをくれた。…
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関東初「デジタルピッチャー」採用のバッティングセンター(西葛西)
「ボク、野球チームに入りたい」 筆者の小学1年の長男(6)が突然こう言い出した。 「それなら、まずバッティングセンターで打ってみるか?」 「打ちたい!」 そういえば「昭和」…
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愛煙家のオアシスのような喫茶店…“隠れ家”にビリー・ホリデイのレコード(東京・蔵前)
あらゆることに余裕がなくなりつつある昨今、喫煙者は世間から鼻つまみ者扱いされることがしばしばだ。 「たばこのない五輪」を掲げた東京五輪開催に伴い、街からは喫煙所がひとつ、またひとつと姿を消した…
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赤線時代のカフェーの雰囲気が…昭和34年開業のレトロな理容店(亀戸)
戦後の残り香を今に伝えるカフェー建築。その数は年々減っているが、下町の住宅街の片隅にポツンとたたずんでいるのを見つけると、「お、ここにもまだ……」とうれしくなる。 カフェー建築とは、終戦直後…
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裏路地でひっそりと…明治後期開業の和菓子兼弁当屋が3世代で追及する「ホンモノ」の味(浅草)
下町として知られる浅草。今回の舞台はつくばエクスプレス浅草駅付近の裏路地にひっそりとたたずむ、和菓子と弁当を販売する「越後家」だ。 年季の入った黄色の看板は遠くからでも分かるくらい“いかにも…
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松山容子主演作のモデル こだわり尽くし「きつねうどん」発祥の店(大阪・心斎橋)
松山容子。この名を聞いてうなずく方は、映画のオールドファンか、もしくはカレー好きかもしれない。 なぜなら昭和期に活躍した名女優、そして「ボンカレー」のパッケージモデルを長らく務めたあの和服姿…
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看板に3桁の市内局番…父親の後を継いだ81歳の店主が営む洋服店(板橋・幸町)
先日、幸町を歩いていたら、3桁の市内局番を掲げる洋服店が目に留まった。 洋服店を見かけることもまれになったので、中をのぞいて声をかけてみる。文房具も多いから学生向けの店かしらん、と思っている…