どうする、どうなる「日本の医」
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いじめ自殺への支援体制が日本は脆弱…専門医は米国の5分の1
3月13日、2021年にいじめ被害を訴える遺書を残して自殺した東海大学付属福岡高校の生徒の遺族が、いじめに加担した上級生4人に損害賠償を求める訴訟を起こした。 いじめは剣道部を舞台に起こった…
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新型コロナJN.1による第10波が収束…感染しても軽症だが、懸念は後遺症
新型コロナウイルスJN.1による第10波の流行が収束した。本稿で総括したい。 JN.1は、オミクロン株BA.2.86(通称ピロラ)から派生したものだ。昨年9月、カナダ、フランス、シンガポール…
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福島県南相馬市の「井戸端長屋」は、能登も参考になる高齢者支援のケースだ
能登半島地震から1カ月半が経過した。被災地の復興には何が必要だろう。東日本大震災後の福島県相馬市の対応をご紹介したい。 相馬市で問題となったのは要介護者の激増だ。特に軽症者が増えた。相馬中央…
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能登半島の高齢化率は50%…被災地の医療支援が急速に難しくなった
能登半島地震が発生してから1カ月が経過した。私が医師になってから関わる3回目の震災だ。最初は阪神・淡路大震災で、実家が被災した。次は東日本大震災。福島県浜通りの医療支援に関わっている。そして今回だ。…
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能登半島地震の被災者は気をつけたい「誤嚥性肺炎」 口腔ケアの優先順位を上げて予防を
能登半島地震の被害が甚大だ。復興には時間がかかるだろう。それまで被災者は避難所や仮設住宅で過ごすことになる。その際、何に気をつけるべきか。感染症、エコノミークラス症候群対策の重要性が、多くのメディア…
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やせ薬「セマグルトチド」の危ない使い方 東大病院の研修医2人が不正入手
12月15日、朝日新聞が東大病院の2人の研修医がリベルサスを処方し合っていたことを報じた。前回につづき今回も肥満治療薬について書きたい。 リベルサスとは、我が国でも承認された、やせ薬セマグル…
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保険適用となった「肥満治療薬」の効果 健康寿命の延長も期待
デンマークのノボノルディスク社(以下、ノボ社)が開発したセマグルチド(商品名ウゴービ)が肥満治療薬として承認された。毎週1回皮下注射する薬で、11月22日から保険適用となった。我が国の肥満対策が大き…
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大動脈瘤解離はどう予防する? 大切なのは自分の体質を知り、血圧を管理すること
剣道家の田原弘德先生が亡くなった。現役時代には警視庁剣道副主席師範を務められ、私も学生時代に稽古をつけていただいたことがある。温厚な人柄で多くの人々に慕われ、多数の後進を育てた。ご冥福を祈りたい。 …
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今冬トリプルデミックの懸念…高齢者は気をつけたい「RSV感染」とは?
今冬、注目すべき感染症が3つある。新型コロナウイルス(コロナ)、インフルエンザ(インフル)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)だ。 コロナとインフルを知らない人はいないだろう。問題はRSVだ。コ…
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アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」はまだ推奨できない メディアの称賛一色に違和感
9月25日、エーザイが開発したアルツハイマー病治療薬レカネマブ(商品名レケンビ)が承認された。岸田首相はその活用に向けて「必要な検査体制や医療提供体制の整備の検討を進めてほしい」と指示し、メディアも…
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深刻な都市部の病床不足…コロナとインフルエンザの流行が急拡大
コロナとインフルエンザの流行が拡大している。9月20日、政府は生後6カ月以上を対象に変異株対応のコロナワクチンの追加接種を始めた。インフルエンザワクチンと併せて接種をお勧めしたい。 コロナ禍…
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なぜ日本で臨床研究が進まないのか…元凶は厚労省の「護送船団方式」にあり
9月1日、政府の感染症対策の司令塔となる内閣感染症危機管理統括庁が発足した。同時に、政府は国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して国立健康危機管理研究機構(日本版CDC)を発足させる。有…
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26歳内科医が過労自殺…勤務医という雇用形態には無理がある
神戸市の甲南医療センターに勤務する26歳の内科医が自殺した。過重労働が原因だ。この件は医療界の構造的問題を反映している。 まず、注目すべきは病院の経営難だ。甲南医療センターを経営する公益財団…
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研究が進む「共生菌」の知られざる効力 人々の健康観念が大きく変わる可能性
感染症研究は日進月歩だ。8月3日「サイエンス」誌に掲載された米ジョンズ・ホプキンス大学の研究が注目を集めている。 この研究では、マラリアを媒介するハマダラカの腸内がデルフティア・ツルハテンシ…
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厚労省が迷走…今秋接種ワクチン「ファイザー製一本化」の大問題
7月28日、厚労省は秋以降接種予定の変異株対応コロナワクチンとして、ファイザーから2000万回接種分、モデルナから500万回分を購入することで合意したと明かした。迷走の上、問題だらけの決着だった。背…
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エアコン嫌いな高齢者の熱中症対策 扇風機の単独使用は危険だ
歴史的な猛暑が続いている。過去5年間、高齢者を中心に、毎年1000人を超える人が熱中症で亡くなっている。今年は、更に増えそうだ。いかにして、猛暑から我が身を守るか、本稿で論じたい。 熱中症対…
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日本版CDC設立で感染症対策は改善されるのか? “感染症ムラ”の解体が急務
5月31日、米国に倣い日本版CDCを新設する法律が成立した。 国立感染症研究所(感染研)と国立国際医療研究センター(NCGM)を統合し、新たな特殊法人を設立するという。果たして、こんなことで…
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世界の医学界が注目する認知症と難聴の関係…補聴器の使用で認知症リスクは8%程度低下
高齢化が進むわが国で認知症対策は喫緊の課題だ。診療をしていると、「最近、物忘れがひどくなって、認知症が始まったのではないかと心配です」と相談されることが多い。どうすれば、認知症を予防できるだろうか。…
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アステラスの「更年期障害」治療薬は日本で臨床試験せず…世界的な偉業が埋もれる恐れ
5月12日、アステラス製薬が開発していた顔面の火照り、のぼせ感、寝汗などの更年期障害の治療薬フェゾリネタントが米国で承認された。欧州や豪でも承認申請中だ。 更年期障害の原因の一つは、閉経に伴…
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日本のコロナ対策が迷走した原因は「国民の健康より国家の都合」な厚労省の体質にある
なぜ、我が国のコロナ対応は迷走したのか。コロナ対策の主体は厚労省だ。その前身である厚生省は昭和13年に内務省から分離独立した。今回の迷走劇を考える上で、内務省を理解することは重要だ。 内務省…