ルポ「ファミリーレスの老後」を生きる人たち
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「ここにしか僕のファミリーはいない」福祉の手を差し伸べる側から、その手を握り返す側へ
2002年に東京のドヤ街、山谷地区に民間ホスピス「きぼうのいえ」を立ち上げた山本雅基さん(59)は、今では山谷の福祉システムに守られながら1人暮らしをしている。 少子高齢化が進み、頼れるファ…
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消えた「山谷のマザー・テレサ」の今「『きぼうのいえ』での経験は私の財産」
夫の山本雅基さんと二人三脚で東京山谷地区の民間ホスピス施設「きぼうのいえ」を創設した美恵さん(65)は現在、とある地方の山間部の高齢者施設で看護師をしている。 2002年に「きぼうのいえ」を…
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「見つかっちゃうものですね」“山谷のマザー・テレサ”は静かに笑った
東京のドヤ街、山谷地区に民間ホスピス施設「きぼうのいえ」を立ち上げた山本夫妻。妻の美恵さんは各メディアに山谷のマザー・テレサともてはやされ、人生のいわば絶頂期に、年下の男と出奔した。 そこか…
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「きぼうのいえ」は映画にもなったが…“山谷のマザーテレサ”が失踪し大きな支えを失った
「おまえたちは金儲けのために俺たちのこと、利用してるんだろう」 東京都の山谷地区にある民間ホスピス「きぼうのいえ」の創設者、山本雅基さん(59)の耳に残る言葉だ。 2002年にスタート…
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ある日、“山谷のマザー・テレサ”と呼ばれた妻は従業員の男と消えた
ヤクザと過激派がぶつかり合い。殺人事件にまで発展したことのある山谷地区は、東京都の台東区と荒川区にまたがる1.7平方キロほどの地域だ。1泊1500円から3000円程度で宿泊できる簡易宿所、いわゆるド…
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手紙をくれた読者の出所当日の出迎えに 人によっては「堀の中」のほうが幸せ?
5回目の刑期を終えて出所した村田幸治さん(仮名=65)と私が知り合ったのは、「マイホーム山谷」(小学館)の感想をしたためた手紙を出版社経由で著者である私にくれた2022年の秋ごろのことである。同書は…
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刑務所の中で大クラスター発生 真夏でも浴室の使用が制限された
2020年の初頭から約3年間、世界は新型コロナウイルスの猛威にさらされた。至るところでクラスターが発生し、社会生活は停滞・混乱した。塀の中にも猛威は及んだ。 万引で刑務所の中と外を行ったり来…
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塀の中の“ファミリー” 助け合いながら仲間意識が生まれる
“娑婆”では1人暮らしの高齢者が増えている。2020年の調査を基にした人口推計によると、日本の65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は29.1%。このうち、1人暮らしは10.6%を占め、10年前から比…
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「罰金が払えなくなる」と思わず…刑務所行きを避けるための万引き
40代の半ばから20年以上、刑務所を出たり入ったりする村田幸治さん(仮名=65)は、万引の常習犯だ。 「日々の生活費が惜しくてついついやっちゃうんですよ」 ここから紹介するのは10年ほ…
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万引生活の果てに…生活必需品に「こんなモノに金を使わなきゃいけない」と感じるまでに
「お客さん、お会計が済んでない商品をお持ちですよね」 制服姿の警備員に後ろから手首を強く掴まれた。最初にふと頭に浮かんだ言葉は「この警備員、俺と同年代だな」だった。行きつけのイトーヨーカドーで…
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ただ一人の身寄りもいなかった 近隣住民は静かに見守っていたのだが…
東京のど真ん中で餓死した河辺孝さん(仮名/享年76)。彼は自宅の玄関で、あおむけの姿勢で亡くなっていた。 取材を始めた当初、河辺さんの情報は多くはなかった。少しずつ絞り込みながら、住所と名前…
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警察は「親子であることが証明できない」と
大都会の真ん中でたった一人、誰にも看取られることなく餓死した河辺孝さん(仮名/享年76)。厳格過ぎる規則の運用が死後も彼を苦しめている。 刺すような夏の日差し──。 通りの端に少しだ…
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男性は生活保護の再開を拒絶、「金ならある」に潜んだ悲しき思い
生活保護を打ち切られてからの河辺孝さん(仮名、享年76)は水道も電気も料金を支払わなくなった。ガスだけあれば生活できると考えたようだ。 「トイレは近くの公園にあるものを使ってたみたいなんだよな…
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東京のど真ん中の自宅で餓死した男性 なぜ、生活保護は打ち切られたのか
東京のど真ん中の自宅で餓死した河辺孝さん(仮名/享年76)。生活保護を打ち切られた理由とは。 だんご屋、町中華、衣料品店、総菜屋……少し擦り切れ気味の個人商店が駅前通りに軒を連ねる。どことな…
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東京のど真ん中で飢死…76歳の男性は106万円が入った封筒を残して倒れていた
ツヤの失われた顔面はグレーと黄土色を混ぜたような色に覆われていた。頬は落ちくぼみ、袖口から見える手首には骨が浮き上がっていた。 令和3年3月、河辺孝さん(仮名)が、自宅の玄関であおむけの姿勢…