「ユーラシア動物紀行」増田隆一著
著者の専門である動物地理学とは、世界各地に生息する動物の進化や多様性、そしてその起源地や渡来の経路・時代を明らかにする研究。これまでの研究から日本の動物たちのふるさとはユーラシア大陸であることが分かってきたという。
本書は、著者がユーラシア各国の研究者とともに行ってきた動物地理学研究の成果を紹介しながら、日本とユーラシア大陸の関係を考察したリポート。
フィンランド国立自然史博物館と共同で進めるヨーロッパアナグマと二ホンアナグマの系統地理に関する研究をはじめ、ウラル山脈のヒグマ、アザラシなどの海洋由来の動物も生息するバイカル湖など。フィールドワークの様子も多くの写真で紹介しながら、時空間を旅する動物地理学の世界を案内する。
(岩波書店 960円+税)