「椿井文書」馬部隆弘著

公開日: 更新日:

 歴史学の基本は、古文書学に基づいて偽文書を排除し、真正な古文書から過去を復元していくこと。この作業の積み重ねで、現代においては偽文書はほぼ壊滅状態にあると多くの歴史学者は思っていた。しかし、今世紀に入ってもなお、多数の研究者が使用している偽文書があるという。それが「椿井(つばい)文書」と呼ばれる一連の古文書で、なんとその数は数百点にも及ぶ。

 文書は、山城国相楽郡椿井村(京都府木津川市)出身の椿井政隆(1770~1837年)なる人物が依頼者の求めに応じて偽作したもの。

 この日本最大級の偽文書がどのように作られ、流布したのか。本書は、その実態を解説し、文書が引き起こした問題やそこから見えてきた歴史学の課題について言及する歴史テキスト。

(中央公論新社 900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動