テレワーク時代

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「すごいテレワーク」福山誠一郎著

 新型コロナウイルス禍で一気に広まったのが「テレワーク」「リモート労働」。一体どうやったら対応できるのか。



 著者は共働きで小2と幼稚園年長組の子ども2人を育てる父親。昨年3月までは企業勤めのマーケッターで1日10時間以上働く仕事人間。しかし昨年、「ひとり起業」で独立してからは平日5時間以下。休日は完全オフでありながら、長期案件のクライアントだけでも5社をかかえて大いに人生をエンジョイしているという。なんとうらやましい! なにしろ「働き方もデスクワーク主体でなく」「家事や遊びをしながら、ビジネスアイデアを発想できるようになりました!」というのだから。本書はそんな「ひとり起業」家の成功のヒケツを教えてくれる。

 テレワーカーはフリーだから、リモート会議などでも「ファクト」(事実)に基づいた情報と提案を手際よくプレゼンするのが最重要。ネットで拾える情報の大半は「ファクト」ではなく「オピニオン」(解釈)。ではどうすればいいか。

 本書はその初歩から始めて具体的にプランを練るプロセスを解説してくれる。

 特に効果的なのは人口統計のデータ。たとえば年齢別人口の推移をもとに人口ピラミッドの表を作成し、それをもとにクライアントの求める成果を具体化する戦略を作成する。フリーやテレワーカーは身近な日常生活こそが大事な情報源と著者はいう。その極意を本書で学びたい。

(PHP研究所 1400円+税)

「これからのテレワーク」片桐あい著

 いまから28年前、サン・マイクロシステムズ(現日本オラクル)に入社した著者は、米国本社との会議に自宅から電話で夜中に参加し、翌日は在宅勤務する同僚を見て驚く。もうそのころからテレワークは日本でも実行されていたのだ。

 この時代を著者は「テレワーク1・0」と呼び、いまや「3・0」の時代の幕開けにいるという。本書はその指南書だが、面白いのは「テレワークのデメリット」も数々列記してあることだ。

 たとえばテレワークは「ワークライフ・バランス」が取れる一方、パソコンと電話さえあればいつでも仕事になるため、逆に崩れがちにもなる。自宅なら仕事をサボる誘惑も多いし、人間関係はうまくやらないと情報交換にも差し障りが出る。見られてないと評価されにくいというデメリットもあるのだ。ではどうするか。テレワーク下での「報連相」のコツなど、小さな気配りが本書の持ち味だ。

(自由国民社 1400円+税)

「Zoomマスター養成講座」奥村絵里著

 テレワーク時代に一気にユーザーが増えたのが会議アプリ「Zoom」(ズーム)。

 グーグルやフェイスブックにも同種のサービスがあるが、いち早く多くのユーザーを獲得したのがZoomだ。その使い方をゼロから詳しく解説するのが本書。

 いつの間にか急速に普及しただけに、「いまさらZoomってどうすればいい? なんて他人に聞けない」と思っている人は少なくないはず。もちろん類書は多数あるが、本書は写真を多用し、アカウントの取得法からパソコン、スマホ、タブレットでの使い方の違いなどを丁寧に解説してくれる。

 Zoom会議では早口のマシンガントークは逆効果など、やってしまいがちな失敗を予防するアドバイスも豊富だ。

(つた書房 1500円+税)

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