「舌を鍛えれば肺炎は防げる!」美内明子著

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスにより、肺炎の恐ろしさを再認識した人も多いことだろう。ただし、肺炎にはさまざまな種類があり、インフルエンザや新型コロナによるウイルス性肺炎、マイコプラズマなどが原因で抗生物質が効かない非定型肺炎、肺炎球菌などによる細菌性肺炎など、異なる原因によって引き起こされる。

 これらの感染性の肺炎とは別に、医薬品などの副作用やアレルギーによる薬剤性肺炎や、膠原病が原因となる症候性肺炎など非感染性の肺炎もあるが、その筆頭であり高齢者の肺炎の7割を占めるといわれているのが、誤嚥性肺炎だ。喉の力が衰えることで気管に入り込んだ異物を排出できず、肺にまで達して肺炎に至ってしまうのだ。

 実は震災関連死の中で最多数を占めるのも肺炎で、ほとんどが誤嚥性肺炎だという。歯磨きが十分にできない環境では口腔内に細菌が増殖しやすく、汚れた唾液を誤嚥することで発症しやすくなる。

 ただし、誤嚥性肺炎は予防しやすい肺炎とも言える。喉の力を鍛えておけば誤嚥も起きにくく、たとえ起きても咳反射で速やかに肺の外へと排出し、肺炎の原因を作らずに済むためだ。喉の力を鍛えるのは意外と簡単。例えば、舌を思いきり出して下方向に伸ばしてみよう。連動して喉がグッと上に押し上げられるのが分かるはずだ。口を閉じたまま、舌を上あごに思いきり2秒間押し付け、力を緩めるのを10回程度繰り返すのもいい。喉が上下して格好のトレーニングとなり、喉の力が鍛えられる。

 ウイルスや細菌に負けないよう免疫力を鍛えても、喉が弱っていれば誤嚥性の肺炎で命を落としかねない。喉の力を維持するべく、喉のトレーニングを習慣づけよう。

(学研プラス 1100円+税)

【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較