「体は顔から朽ちていく」KRD Nihombashi Medial Team編 山岸昌一ほか監修

公開日: 更新日:

 年齢を重ねると、若々しい顔の人と年齢以上に老けた顔の人との差がついてくる。その原因には、生まれ持っての顔のつくりではなく、体の内側で発生している問題が大きく関わっていると本書は警告する。

 老化現象が起こるのはごく自然なことだ。しかし、そのスピードが人によって違うのは、体を守ってくれるはずの免疫機能の暴走と、これによって全身に起こる炎症の影響が大きいという。免疫機能が働くとき、体内にはサイトカインという情報伝達物質が駆け巡り、免疫細胞を活性化する。免疫細胞が戦っているエリアでは、熱を持ったり腫れたりする。これが炎症と呼ばれる状態だ。

 ところが、体のあちこちで慢性的に炎症が起き続けると、血管が少しずつ硬くなり、やがて臓器や皮膚など全身の機能が低下していく。

 例えば、眉間のシワが深いと老いている印象が強くなるが、これにはもっと重要な意味がある。2018年に欧州心臓病学会で発表された調査報告によると、眉間のシワが深い人は浅い人と比べると動脈硬化が原因で命を落とす確率が10倍近く高いことが分かったのだという。額の血管は非常に細く、動脈硬化の影響を受けやすい。血管が老化すれば皮膚にも十分な栄養が行き渡らなくなり、結果として深いシワが刻まれてしまうことになるわけだ。

 顔が年齢以上に老けて見えるのは、体の中で慢性炎症が進んでいる証拠ともいえる。全身への炎症をもたらす大きな要因として、本書では糖や脂質に偏った食生活や歯周病などを挙げている。最近老け込んできたと感じるなら、身だしなみを整える前に、慢性炎症を起こしている原因がないか、自分の体とじっくりと向き合ってみるべきだ。

(ダイヤモンド社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ