「街場の米中論」内田樹著

公開日: 更新日:

「街場の米中論」内田樹著

 かつてアメリカは超覇権国だったが、今はその力が低下して、「不愉快な隣人」である中国と共生しなくてはならない。対話や説得は一時棚上げにし、「とにかく生きのびる」という全員が共有できる目標を掲げることが必要だ。

 アメリカでは「自由と平等」という食い合わせの悪い二統治原理が葛藤しているが、フランス革命では、もうひとつ「友愛」を掲げている。これは自由と平等を調停する優れた着眼点である。自由の主体は個人で、平等の主体は公権力だが、友愛の主体はその中間にある共同体で、それが自由主義と平等主義の暴走を食い止めるのだ。友愛とは、井戸に落ちかけた子どもに手を差し伸べる「惻隠の心」である。だが、それが体重100キロの子どもだったら?

 内田樹が米中の本音に迫る。 (東洋経済新報社 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした