「ぼくらの身体修行論」内田樹、平尾剛著
武道家の顔も持つ内田氏と、元ラグビー日本代表の平尾氏の対談集。それぞれの立場、経験から人間の潜在的な身体能力を開発するにはどうしたらよいかを論じ合う。
内田氏によると、イギリスのパブリックスクールの必修科目だったラグビーには身体的コミュニケーション能力の開発という目的があったという。それは、学生たちが支配階級になったときに求められる能力だったからだ。その他、平尾氏が試合中に右腕を骨折したが、30分以上も痛みを感じなかったという体験などを紹介しながら語る身体と痛みの関係や、スポーツの根性主義の危険性など。豊富な話題を織り交ぜながら、学校教育やスポーツが見落としている人間の身体的資源に注目する。
(朝日新聞出版 600円+税)