「街場の成熟論」内田樹著
「街場の成熟論」内田樹著
ウクライナへの軍事侵攻以前に、プーチンはクリミアを併合し、それ以後も東部で分離活動を「特殊な軍事的作戦」として行った。だが、「ウクライナはこれからどうなるのだろう」と話題になることはなかった。今回はこれまでと違うことが起きていると誰もが感じている。
アルベール・カミュは「反抗的人間」の冒頭で、同じような出来事が続いても、「何かがこれまでと違う」と直感すると、人はそれまでしたことのない行動を取ることがあると書いている。誰かが「勝手な振る舞い」をして権利を拡張しようとすると、人は「ものには限度がある」と感じて反抗するからだ。
ほかに、ジェンダー問題などを素材に、市民の成熟について考える。
(文藝春秋 1760円)