つかこうへい氏のセクハラ、パワハラ全開の芝居の裏にはいつも「愛」があった
今年もまた7本の芝居に出る。全部役者だ。今年最初の芝居は、つかこうへい作「初級革命講座─飛龍伝」(2月2~6日、下北沢スズナリ)。
1960年代から70年代の学生運動の話。熱い芝居だ。
私がつか芝居と出合ったのは1974年。早稲田大学に入学し、大阪から東京に出てきた1年生の頃。当時は大学構内の6号館というところの最上階に「6号館アトリエ」と呼ばれた、別名「ハト小屋」とも呼ばれる演劇小屋があった。小さい舞台が3つほどあり、普段は稽古場だが、いざとなるとライトがついて本番もできる。なぜかハトの声がうるさいほったて小屋だった。
ここで見たのがつか氏の「戦争で死ねなかったお父さんのために」。衝撃であった。こんな面白い芝居があるのか、と思った。とにかく笑った。そのレトリックと言葉のセンス。言っておくが漫才ブームでたけしさんたちが新しい笑いを作る6年も前である。あの革新的な笑いの先駆けは確実につか氏の芝居にあった。
余談ではあるが、「ひょうきん族」や「ビックリハウス」に代表される80年代の笑いの芽は、つかこうへいと筒井康隆と「がきデカ」にあるというのが私の持論である。