MANGAカルチャーは世界席巻も、低すぎる国内の評価…鳥山明氏の死去を機にSNSで疑問噴出
文化勲章はいまだゼロ
確かに国の芸術文化分野への栄典制度のうち「紫綬褒章」は1969年に「のらくろ」の田河水泡さんが初めて受章してから、29人の漫画家に贈られている(手塚さんは生前に辞退)。しかし、「文化功労者」は昨年10月の里中満智子氏への授与が6人目。文化功労者から選ぶ「文化勲章」に至っては、いまだゼロだ。
優れた芸術家を優遇顕彰する国の栄誉機関「日本芸術院」の評価も低い。前身の帝国美術院の創設は1919(大正8)年。105年もの歴史がありながら、マンガ分野を新設したのは2022年のこと。今月1日付で萩尾望都氏が新会員に選ばれたとはいえ、現会員109人のうち、マンガ分野の会員は他につげ義春氏とちばてつや氏の計3人しかいない。
「日本は超が付く漫画先進国なのに、文化行政関係者の偏見は根強く、漫画家の地位は向上していません。権利保護も世界に遅れています。世界の人気IP(知的財産)ランキングはディズニーのキャラクターを抑え、ポケモンが1位。上位は日本の漫画キャラが席巻中です。漫画・アニメは『クールジャパン』の稼ぎ頭で貴重な観光資源にもなっていますが、政府はカネさえ引っ張ってくればいいとでも思っているのか。リスペクトに欠ける不当評価は、ひとえに文化オンチの政治家に起因しています」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)
岸田首相は人気取りでいい。鳥山さんに漫画家として「サザエさん」の長谷川町子さん以来、32年ぶり2人目の国民栄誉賞を贈っても、誰も文句は言うまい。